日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2002
巻 :2
号 :1
頁 :50〜60

痴呆と判断される高齢患者の言動パターンへの看護者の認識過程

坂口 千鶴1

1日本赤十字看護大学

本研究の目的は、医療機関において痴呆と判断される高齢患者の言動パターンに対する看護者の認識過程に注目し、高齢患者に対する理解と対応への影響を明らかにすることである。看護者が痴呆と判断する6 5歳以上の高齢患者7名と高齢患者に関わった看護者1 8名を対象に、高齢患者の日常生活援助や医療処置への参加観察と看護者への面接によりデータを収集した。日常的ケアにおける高齢患者の言動パターンを通して看護者が認識しようとしていたものは患者の意思であり、患者の【意思の探索】は看護者が高齢患者と関わる上での中心的な概念であった。【意思の探索】は、看護者が〈手がかり〉〈疑問解決のための確認〉〈推察の確認〉〈決定〉の流れを踏まえて、患者の《意思に対する確かめ》を行うことを軸に、〈指示への意思の見極め〉〈不快の見積もり〉〈意思決定の把握〉〈内的体験の理解〉の4つの局面から構成されていることが明らかになった。
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