日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2003
巻 :3
号 :1
頁 :49〜58

臨床看護師の道徳的感性尺度の信頼性・妥当性の検討

中村 美知子1、石川 操2、西田 文子1、伊達 久美子1、西田 頼子1

1山梨大学医学部看護学科、2新潟青陵大学

筆者らは、過去にLutzenらのモラルセンシビティーテスト(moral sensitivity test、以下MST)を用いて、看護学生、医学生、看護師の臨床場面における道徳的感性の比較と、すべての対象を含む調査内容の信頼性や妥当性について検討してきた。対象は、関東近県の3総合病院(500床以上)の成人内科・外科病棟に勤務する看護師199名で、そのうち有効回答は合計192名(96.5%)であった。調査の信頼性は、回答者と質問内容の安定性の視点から評価した結果、5名がばらつきレベルの平均値1.5以上で信頼性の調査対象には該当しないと判断し、除外することとした。なお、全質問項目の信頼係数(クロンバックα)は0.72であった。次に、34項目の妥当性を確認するために、主成分分析を行った。累積因子寄与率約60%までの11成分を抽出して検討した結果、患者の理解、責任・安全、葛藤、規則遵守、患者の意思尊重、忠誠、価値・信念、内省、正直、自律、情、であることを確認した。本調査結果は、臨床場面の想定が多い内容から導き出した結果であることなどから、本尺度を用いて臨床看護師の道徳観の傾向を知ることが可能であるが、内容的には守秘や擁護に関する項目の追加の必要が確認された。
論文(PDF)を表示