日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2003
巻 :3
号 :1
頁 :70〜79

注射業務における看護師の安全確認行動の分析

西川 晶子1、稲田 三津子2、小島 通代3、前田 久美子4、渡邊 三紀子5、稲田 久美子5、沼田 玲子6、池田 美里7、天野 幹子7、長澤 利枝8

1名古屋大学医学部保健学科、2日本赤十字看護大学、3日本赤十字九州国際看護大学、4大森赤十字病院、5横浜市港湾病院、6慶應義塾大学病院、7日本赤十字社医療センター、8静岡県立大学短期大学部

本研究の目的は、いわゆるベテラン看護師が行っている注射業務を記述し、看護師が事故を未然に防ぐために、どのような行為や工夫を行っているのかを明らかにし、医療事故防止対策の基礎資料を得ることである。臨床経験1 0年以上で過去1年間、医療事故を起こしていない看護師9名を対象に、注射業務の行為を半構成的面接によってデータ収集し、質的に分析を行って安全確認行動を抽出した。その結果、対象の看護師は、医療事故が起こる可能性や危険性を常に意識し、「病棟のルール」を厳守してより具体化した「個人のルール」を自ら設定すると共に、「ルール違反をしない」ことを自らに課すという自己モニタリング技法を用いた安全確認行動をとっていた。このような行動規範を有する看護師を対象とした分析は、医療事故予防策を検討するために有効であることが示唆された。
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