日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2003
巻 :3
号 :1
頁 :97〜107

救命救急センターにおける重症くも膜下出血患者の配偶者に対する看護実践の記述

林 みよ子1

1日本赤十字看護大学大学院博士後期課程

本研究は、救命救急センターに搬送される代表的疾患である重症くも膜下出血患者の配偶者への看護実践プロセスを記述・分析することを目的とした。対象は同意の得られた1名の配偶者で、アクションリサーチを用いた質的記述的研究を行った。配偶者は、A氏、68歳の男性であった。A氏は、冷静に振る舞い他者の支援を受けない状況から、ありのままの思いを語り、自らの新しい役割を検討するまでに成長した。看護師の継続的なかかわりは、相互の交流を深めて互いを開放させ、配偶者に安全な場所を提供できると考える。また、病態が安定しても意識が回復しない時に医療者の訪室が減少したことで、A氏の希望が揺らいだ。このような状況の中での看護師のかかわりは、配偶者が、患者に最善の治療が行われ、医療者の関心が注がれていることを実感できる精神的サポートであり、刻々と変化する患者の病状を受け止め、意味づけるための知識を提供する重要なかかわりであるとも言える。
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