日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2006
巻 :6
号 :1
頁 :94〜102

「概念分析」の主な手法とその背景についての文献的考察

上村 朋子1、本田 多美枝1

1日本赤十字九州国際看護大学

本稿では、概念分析の手法について概観し、それぞれの手法が生み出されてきた背景について論じた。概念分析は1960年代の看護理論の開発に伴い、その構成ブロックである概念を明らかにする必要性から、欧米を中心に探究が進められているものである。 看護の分野で使用されている概念分析の手法は、高校生の概念分析スキルの向上を意図して導かれたWilsonの方法から展開している。その主なものは、システマティックな方法として評価され、先行研究において最も採用されているWalker & Avantの方法、また時間や状況による概念の変化に着目したRodgersの革新的方法、実践現場で概念がどのような意味で使用されているのかを重視したハイブリッド・モデル、さらには、いくつかの概念を多面的に分析する同時的概念分析などである。 概念分析は、これまで曖昧に使用されてきた概念を明確にすることを通して、看護の現象に迫る方法を提示している。それぞれの手法の活用にあたっては、分析の目的に適した手法を選択して、クリティカルな思考を展開することが重要である。
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