日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2007
巻 :7
号 :1
頁 :58〜67

博愛社における看護者雇用の実態−博愛社創設(明治十年)から日本赤十字社看護婦養成所設立(明治二十三年)に至るまで−

阿部 オリエ1

1日本赤十字九州国際看護大学

本研究は、看護という職業が,なぜ女性の職業として定着したのかという問題関心のもと、看護婦養成開始以前の日本赤十字社(以下、日赤と略す)における看護者の実態を明らかにすることを目的としている。看護者の実態とは、看護者が、博愛社という組織でどのように位置づけられ,期待された役割とは何であったのかということを中心に考察していくことである。これらの考察については、博愛社における日誌、会議録、決議録などの一次史料を用いる。その結果、看護婦養成開始以前の博愛社では、看護人という男性看護者と、看病婦という女性の看護者が存在していた。看護人や看病婦は雇用されており、養成ではなかった。具体的な役割として看護人は戦時救護を担う看護補員であり、看病婦は病院における看護を目的に雇用されたということが明らかになった。その後、日赤は、看護婦養成を明治二十三年に開始したが、これら看護人や看病婦は、養成の対象ではなかった。
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