日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2008
巻 :8
号 :1
頁 :11〜19

看護短期大学における学生の自尊感情の変化に関する縦断的研究−臨地実習各期の自尊感情測定を通して−

原田 真澄1、木村 美智子2

1藤田保健衛生大学 衛生学部、2日本赤十字豊田看護大学 看護学部

本研究の目的は、臨地実習をおこなう看護学生の自尊感情(SE)の変化の特徴を明らかにすることである。調査対象は1999年にA看護短期大学に入学した学生73名である。自尊感情測定(SE-I型式尺度)は3回おこない、3回ともに有効回答が得られた42名(57.5%)を分析対象とし、因子分析後にFriedman検定および多重比較をおこなった。 その結果、SE得点は各測定時期において有意差はみられなかった。また「対人場面における不安に関する因子」についても、同様に有意差はみられなかったが、徐々に得点が高くなる傾向がみられた。このことから、学生は実習を通して、他者からの評価を気にしながらも、対人場面における対応に自信をもつことができるような変化がみられることが示唆された。 またSE群別にみたSE得点の変化においても有意差はみられなかったが、SE低群の学生は徐々にSEが高くなり、SE高群の学生は徐々にSEが低くなる傾向がみられた。このことから臨地実習は、SEを適度な水準に保つ過程を有することが示唆された。
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