日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2008
巻 :8
号 :1
頁 :103〜109

PEG交換時の合併症より生じた家族の医療不信からパートナーシップの構築−神経難病で人工呼吸器を装着して在宅へ移行できた事例−

福山 直美1、堀部 美帆1、太田 浩美1、不破 直美1、山田 美穂1

1名古屋第一赤十字病院

 今回PEG交換目的で入院してきた神経難病患者が、汎発性腹膜炎を合併し、緊急手術となり、家族より医療不信を訴えられた。またこの患者は、病状が進行し人工呼吸器を装着することになった。この状況下において、日々の看護行為を通して信頼関係を取り戻し、在宅へ戻ることができた経過をまとめた。手術直後、家族はPEG交換時の合併症に対する医療不信と、呼吸機能の悪化に伴う人工呼吸器装着を受け容れることができなかった。看護師が統一した看護技術を提供したこと、患者・家族の意見を尊重しながら看護師の意見も伝えてケアしたこと等により、家族と医療者が理解し合え、信頼の回復に繋がった。さらに看護師は、家族支援には、家族の患者が進行する病状を受け止めなければならない思いを理解することと、家族のこれまでの介護を労い、これからの介護方法を家族の意思決定を尊重し一緒に考え支えることが必要だと学ぶことができた。くわえて家族には、看護師の専門性を理解してもらうことができた。これらより、家族と医療者がお互いを尊重しあい、協働することでパートナーシップを築くことができた。今後も信頼関係を築けるように努力したい。
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