日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2009
巻 :9
号 :1
頁 :1〜9

妊娠を機に糖代謝異常が発見され産後も糖尿病治療が継続された女性の妊娠・出産・産後に対する思い

阿部 弘美1、高橋 央1、齋藤 美恵子1、下村 裕子2

1さいたま赤十字病院、2日本赤十字看護大学

本研究は妊娠以前から糖尿病であったと推測されるが、妊娠により糖代謝異常が発見され、出産後も糖尿病治療を必要とした妊娠糖尿病(GDM)の女性の、妊娠・出産・産後に対する思いを明らかにすることを目的として、同意が得られた出産経験のある妊娠糖尿病患者3 名に半構成的面接を行った。参加者たちは、糖尿病が及ぼす子どもへの影響について「赤ちゃんが壊れる」と表現するほど大きな不安を抱えていた。そして「赤ちゃんを守らなきゃ」「とりあえずインスリン使ってでも産もう」と、出産というゴールを目指して厳格な血糖コントロールに取り組んでいた。また参加者たちは、妊娠前に糖尿病患者としての治療経験がないため、妊娠中にインスリン主体の血糖管理を行うことで、産後も食事療法や運動療法に取り組むよりも、データに反映するインスリン療法への絶対的な信頼を抱きやすいことがわかった。このため、妊娠中から産後を見据えたケアを継続していく必要がある。
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