日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2009
巻 :9
号 :1
頁 :27〜34

脳卒中患者のしびれ感と血流状態との関係−しびれ感改善への提言−

佐藤 一美1、中村 美知子1

1山梨大学大学院医学工学総合研究部

本研究の目的は、脳卒中患者のしびれ感と血流状態(皮膚表面温度・末梢血流速度)との関連を麻痺の有無で比較し、しびれ感軽減の方法について検討することである。脳卒中で片麻痺のある者(以下,麻痺群)9名と麻痺のない者(以下,非麻痺群)5名、計14名を対象とした。しびれ感(「ジンジン」「ピリピリ」「チクチク」「ザワザワ」)と感覚(触覚・痛覚・冷覚・温覚)をVAS(visual analoguescale)で測定した。その結果、両群ともに60%以上の患者にしびれ感が出現していた。麻痺群のしびれ感は麻痺側に多く出現しており、上肢は「ジンジン」と「ピリピリ」の複数のしびれ感を同時に、下肢は単独のしびれ感を自覚していた。感覚と皮膚温、血流速度は麻痺群と非麻痺群では差がなかった。麻痺群のしびれ感・感覚と血流状態との関係では、「ジンジン」と冷覚に負の相関、皮膚温に正の相関が認められた。このことから、皮膚温の調節がしびれ感軽減につながる可能性が示された。
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