日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2010
巻 :10
号 :1
頁 :16〜22

意識障害患者に味覚刺激を加えた口腔ケアの効果の検討

竹内 美千代1、伊藤 歩1、高瀬 梨華1、西 幸子1

1名古屋第一赤十字病院 脳神経外科病棟

A病院は、N市(人口225万人)の西部に位置し、第三次救急医療を行っている地域医療支援病院である。年間約7000件の救急搬送があり、そのうち約200名が脳神経外科疾患患者である。また、在院日数も年々短くなり、脳神経外科病棟(以下,当病棟)は急性期看護・処置に重点を置かざるを得ず、看護が提供できる期間も限られている。その限られた期間のなかで私たちは、脳神経外科領域における意識障害患者の、人間らしさの回復や生活を見据えた看護の提供がしたいと考えた。そこで、脳神経外科領域で、急性期にあり、意識障害がみられる患者に、酸味による味覚刺激を加えた口腔ケアを行い、意識障害回復改善への効果について検討した。その結果、以下の点が明らかになった。1.脳神経外科領域で、急性期にあり、意識障害がみられる患者に、酸味による味覚刺激を加えた口腔ケアを行うことは、意識障害回復改善への効果がある。2.味覚刺激開始時期および実施期間と、意識障害回復改善との関係については、はっきりしなかった。以上の結果から、脳神経外科領域における、急性期意識障害患者に対して、味覚刺激は意識障害回復改善への重要な看護であると考えられた。
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