日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2015
巻 :15
号 :1
頁 :55〜60

全国がん診療連携拠点病院におけるがん患者カウンセリングの実態と課題

黒木 由里子1、生山 笑2、腰原 麻衣子1、鏡 朋子1、武見 綾子3

1日本赤十字社医療センター、2静岡県立静岡がんセンター、3川崎市立井田病院

 2010年4月「がん患者カウンセリング料」が新設された。しかし、実際に取り組んでいる施設の現状や、看護師の役割は明らかではないため、全国のがん診療連携拠点病院を対象に、その実態と課題を明らかにすることを目的に調査した。その結果、緩和ケア研修を修了した医師や、要件に見合う看護師の不足があり、要件に見合う医師看護師共に業務が多忙である実態が明らかとなった。また、がん患者カウンセリング料は、一患者につき一回しか算定できないが、回答した看護師の78%は複数回介入し、86%が看護師単独での面談を実施していた。継続介入を行う場合の介入内容は、心理的支援が26%と最も多く、次いで24%が意思決定支援であり、治療選択の場面では、一度だけの介入では不足であることが示唆された。カウンセリング介入のきっかけは、登録看護師の判断が最も多いが、患者の選択は医師からの依頼が一番多く、多職種へのシステムの周知が重要である。
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