日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2017
巻 :17
号 :1
頁 :17〜25

母乳育児に対する助産師の認識とその背景

濱田 真由美1

1日本赤十字看護大学

本研究は、質的データの二次分析によって、母乳育児に対する助産師の認識とその背景について明らかにすることを目的とし、実施した。オリジナルデータの使用および本研究に同意が得られた助産師4名のインタビューデータについて、分析を行った結果、【授乳方法についての価値観】、【母親・女性像】、【母乳育児支援への批判】、【母乳育児支援の知識・条件への認識】、【対立構造の認知】、【母親と子どもの位置づけ】、【母親への関わり方】という7つのテーマが見出された。研究参加者は母乳育児に価値をおく助産師とそうでない助産師に大別された。母乳育児に対する価値観の背後には、母性イデオロギーの内面化、母親との間で生じている摩擦への認識が関係していることが示唆された。また母乳育児に対する価値観に関係なく、すべての研究参加者から行き過ぎた母乳育児推進への非難が示され、助産師は母乳育児推進に孕む倫理的問題を認識していることが示唆された。
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