日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2017
巻 :17
号 :1
頁 :45〜52

Beth L. Rodgersの概念分析について−哲学的基盤に基づく目的と結果の再考−

濱田 真由美1

1日本赤十字看護大学

本稿は、日本の看護領域において利用される頻度が高いと推察されたRodgers(2000)とWalker & Avant(2005/2008)の概念分析のアプローチ方法を比較するなかで、Rodgersのアプローチ方法がもつ特徴について検討し、このアプローチを用いる根拠を明らかにすることを目的とした。 Walker & AvantとRodgersのアプローチを哲学的基盤に注目して比較・検討した結果、Rodgersのアプローチを選択する場合は、概念分析の目的やアプローチの選択理由が、概念はダイナミックに変化するものであり、境界が曖昧で、文脈依存のものであるという概念に関する哲学的基盤に一致しており、かつ概念の辞書的定義ではなく、文脈に基づいた真実、本質、普遍性を志向した個性記述的な一般化から概念を明らかにするというアプローチに関する哲学的基盤との間に一貫性があることが求められる。また、Rodgersのアプローチを採用する場合は、概念の社会文化的側面や学問間の比較、経時的変化を文脈を損なわないかたちで探究することによって、概念の理解を高め、看護学や看護実践への示唆を得ることが概念分析の目的として挙げられ、結果へと反映される必要性が見出された。
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