小川 紀子1
1日本赤十字看護大学大学院
福島原発事故後県外へ避難前,避難中,福島県に戻ってからの3時期における母親の思いを明らかにすることを目的とし,県外へ避難当初乳幼児を育てていた母親7名を対象に,半構成的面接を行い質的に分析した.避難前では,【放射線に対する不確かさ】のなか,周囲の母親からの情報等から【子どもにとって放射線は害という確信】をし【子どものために避難を決意】した.避難中では,【環境が変化したことへの苦労】の中,家族と離れて育児や生活する辛さや【人間関係の悩み】を抱えていた.福島県に戻ってからでは,避難経験のない母親との【人間関係の悩み】や【子どもが受けるかもしれない差別への不安】を抱え,【放射線による健康被害への不安】から【子どもの安全を守るための対処】をしていたものの,子どもらしい生活をさせることができない状況にあった.以上から,県外避難から戻った母親の思いを理解した上で,放射線に関する必要な情報を提供しつつともに考える支援の必要性が示唆された. |