日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2020
巻 :20
号 :1
頁 :1〜8

日本におけるレシピエント移植コーディネーターが行う生体肝移植患者と家族に対する意思決定支援

藤澤 和歌子1

1日本赤十字看護大学大学院 博士後期課程

【目的】本研究は,生体肝移植を受ける患者とその家族に対して,レシピエント移植コーディネーター(以下,RTC)が行う意思決定支援を明らかにすることを目的とした.【方法】質的記述的研究.研究参加者は,RTCとしての経験を有する看護師4名である.データは,半構成的インタビューを用いて収集し,意思決定支援を行った状況と行為,意図の観点から分析した.【結果】分析の結果,RTCが行っている意思決定支援として,《親族全体での合意形成を促す》《家族員一人ひとりに検討を促す》《気持ちの揺れに気づき,ドナー候補者を擁護する》《手術に向けて準備を促し,後悔を残さないように関わる》の4つのテーマと,そのテーマを構成する16のサブテーマが見出された.【考察】RTCにとっての実践の核は,生体肝移植という治療のもつ倫理的問題をふまえた上でのドナーの権利擁護であると考えられた.
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