日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2020
巻 :20
号 :1
頁 :35〜42

日常業務の相談場面における看護師長と看護師の相互作用の様相 ー看護師の学びに焦点をあててー

鬼頭 幸子1

1日本赤十字看護大学大学院

 本研究の目的は,日常業務の相談場面における看護師長(以下,師長)と看護師の相互作用の様相を明らかにし,師長との相互作用における看護師の学びという視点から師長や看護師に求められるものは何かを検討することである.研究は師長3名と経験年数4年以上の看護師24名に,病棟での参加観察と半構成的面接を実施した.分析の結果,22の事象から10のテーマが相互作用の様相として見出され,看護師は師長との相互作用をとおして知識や判断基準を獲得し,自分の考えや行動をふり返り,変えていきたいと志向していることが明らかになった.また,看護師が師長の言動から学ぶ様相から,日常業務の相談の中に教育の意味合いをもつ相互作用が多くあることが示された. ただ,看護師の学びはその時だけで終わることもあり,考えや行動の持続的な変容に至らない側面もみられた.この看護師の学びを意識変容の学習につなげるためには,互いの考えを伝え合うことや師長からの適切なフィードバックの必要性が示唆された.
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