日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2021
巻 :21
号 :1
頁 :1〜9

熊本地震被災地域にある医療施設に勤務する看護師の心的外傷後ストレス障害の実態

黒田 裕美1、大重 育美2、菅原  直子3、北條 智子4、有安 直貴5、姫野 稔子2、高橋 清美2、田村 やよひ6

1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻、2日本赤十字九州国際看護大学、3日本赤十字社名古屋第二赤十字病院、4一般社団法人訪問看護ステーションちはやACT、5医療法人勢成会井口野間病院、6前日本赤十字九州国際看護大学

 本研究は,2016 年に発生した熊本地震の被災地域にある医療施設に勤務する看護師を対象とし,熊本地震発災約8〜9か月後における看護師の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の実態及び発災直後に仕事に関することで印象に残った内容を調査した.分析対象は322名であり,PTSDハイリスク者は46 名(14.3%)であった.PTSDハイリスク者に,より年齢が高いことや,中間管理者であることが関連した.また,PTSDハイリスク者には本震時に勤務していたことや自宅被害状況が半壊であったことが関連しており,これらを経験した看護師に対する支援の必要性が示唆された.また,災害看護研修の受講経験者にPTSDが少ない傾向があった.災害看護研修の受講は災害時対応のイメージ化を促進することに繋がり,災害時のPTSDへの有効な対策となると考える.
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