ID:A00229-00008-10141
論文・抄録の閲覧申し込みについては こちら をご参照ください。
アクセス制限の仕組みについては こちら をご参照ください。

≪ご留意事項≫
現在、学会誌(論文誌)の抄録本文、論文本文は本文そのものについては、この検索画面では参照できません。
本文そのものをご参照される場合には、 一般公開検索画面、 または、 登録者用検索画面 TOPより【学会誌(論文誌)等 】の学会誌別検索画面をご利用ください。


第27回日本生物学的精神医学会・第35回日本神経精神薬理学会合同年会

小胞体ストレス蛋白質protein-disulfide isomeraseのS-ニトロシル化と神経変性疾患

○上原孝1,野村靖幸1,LiptonStuart A2

1北海道大院・薬・薬理学,2The Burnham Institute)

 蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)は脳虚血/低酸素ストレスに応じてup-regulateされる内在性細胞死抵抗因子であり,ユビキチン様蛋白質であるユビキリン/PLICと結合する性質を有する.種々の検討から,PDIーユビキリンは変性蛋白質の除去に関わっていること,ERストレスによる神経細胞死を抑制することを明らかにした.しかしながら,一酸化窒素(NO)によるアポトーシスに対しては無効であった.PDI の触媒活性にはCys残基が必須であることから,この部位にNOが結合(S-ニトロシル化)することで抗細胞死効果が消失していると推定された.そこでこの可能性について検討し,以下のような知見を得た.まず,S-ニトロシル化PDI(SNO-PDI)はin vitro, in vivoにおいてNOドナーやNOS依存的に生成されることを異なる方法から証明した.変異体を用いた解析から,PDIのN末端およびC末端に存在するチオレドキシン様ドメイン中に存在する活性に必至なCys残基が標的であった.この修飾はPDIのシャペロンならびにジスルフィドイソメラーゼ活性を著しく低下させた.初代培養神経細胞をNMDA処理した際にもSNO-PDIが認められ,細胞死に先んじたポリユビキチン化蛋白質の蓄積とUPRの活性化(xbp-1のスプライシングとchop誘導)が起こった.PDIの過剰発現はこれらを顕著に抑制した.さらに,ERストレスやプロテアソーム抑制薬による細胞死に対してPDIは抑制的に働き,この効果は細胞死を引き起こさない濃度のNOドナー処理によって消失した.興味深いことに,SNO-PDIはヒト弧発性神経変性疾患患者(パーキンソン病,アルツハイマー病,ハンチントン舞踏病)脳においても検出された.これらの結果から,神経細胞における酸化ストレス,とくにNOによる蛋白質S-ニトロシル化はシャペロンの機能を著しく低下させることにより変性蛋白質の蓄積をもたらし,その結果,神経細胞死ならびに神経変性疾患を惹起することが示唆された.

Keywords: キーワードは登録されておりません


前に戻る | ホームページへ戻る

ご要望はこちらの問い合わせフォームにご入力ください。


Released Ver.0.4.0