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パーキンソン病の一症例
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○金井正博 (1木更津杏林堂)
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【目的】背景:パーキンソン病は原因不明の神経難病の一つである。症状は、振戦、固縮、寡動などの運動症状に加え、精神症状、自律神経症状など多面的な問題を伴うことも稀でない。治療は主にドーパミンの補充療法がなされているが、薬の服用で治療上の問題点がでている患者もある。その観点から、鍼灸治療の補完療法が試みられる理由がある。今回、パーキンソン病患者に鍼灸治療を行い症状の改善がみられたので、その経過を報告する。【症例】67歳男性。初診日:平成19年3月24日。(主訴):左下肢筋固縮、歩行障害、寡動。(現病歴):2年前から左下肢の痛みがあり歩行障害を起こす。動作が緩慢であり筋肉が硬くなる。近位整形外科医は坐骨神経痛を疑うが、半年前、大学病院の神経内科を受診、パーキンソン病と診断される。(現症):左下肢の筋固縮があり、歩幅が広く、不安定。腰痛はなく、臀部より坐骨神経にかけて鈍痛あり。顔は無表情で脂漏性顔貌、最近手の震えを少し認める。便秘気味。車の運転可能。(治療方法):四診の結果肝腎虚証と診断し、本治法を基本とし期門、天枢、太衝、陰谷、外関、肝兪、腎兪、翳風等、置鍼(1寸0.12mm深さ切皮程度15分間)。天柱、風池、肩井に散鍼。薬物療法は初診時の投薬内容を継続した。治療回数は7ヶ月間に31回行った。(評価法):QOLについてはSF-36を用いて解析した。【結果】SF36を8つの尺度から判定した結果QOLの改善がみられた。下肢の動きが軽快になり歩行の改善がみられ、顔の表情も豊かになる。投薬内容に変化なし。【考察】筋固縮、歩行障害、寡動の症状に対し改善がみられ、投薬内容に変化がないことから鍼灸治療がQOLの改善に寄与したものと考えられる。【結語】パーキンソン病患者の投薬内容を遅延させる意味において積極的に鍼灸治療を試みる事を考える。 |
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