ID:A00316-00011-10179 |
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パーキンソン病症例に対する鍼治療と灸治療の有効性の検討
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○吉田尚子2,緒方昭広2,大越教夫3,坂井友実4 (1筑波技術大学 保健科学部 附属東西医学統合医療センター,2筑波技術大学 保健科学部 鍼灸学専攻,3筑波技術大学 保健科学部 神経内科,4東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科)
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【目的】パーキンソン病1症例の治療において,薬物治療に鍼治療・灸治療を併用し効果の違いを比較検討した.【症例】49歳男性 主訴:体全体の収縮感,両下肢のしびれと筋収縮感(右>左),姿勢保持困難(常に後ろに引っ張られている),上肢の振戦(右>左),便秘,両下肢のむくみ,うつ,ヤール分類2度.【方法】比較検討する指標として,UPDRS(専門医評価)・SDS・PDQ-39・VAS・疲労の問診表・下肢周径を用いた.治療は週1回の頻度で,置鍼のみの鍼治療を,連続3回(3週),隔物灸(紫雲膏使用)による灸治療を,連続3回(3週)として各々,鍼1クール,灸1クールとした.鍼クールと灸クールを交互に繰り返し各3クール(18週)実施しデータ収集を行い分析検討した.【結果】1, 主訴の筋収縮感・しびれは,鍼治療・灸治療の施術後,全てに直後効果を認め,しびれは鍼治療で,治療を重ねる毎に効果の度合いが増加する傾向にあった.又,便秘は,便通が2回/1週間→5回/1週間へと改善傾向がみられた.鍼治療・灸治療の施術直後,筋肉の柔らかさを自覚し,衣服の着脱が楽にできる.身体が軽くなり,気分が良くなる等の自覚症状の改善を認めた.2, 客観的スケールとして,1)UPDRSは、全体として23点→12点と改善がみられた.日常生活動作4点→2点と,運動能力16点→7点と改善した.最終治療時には,右手安静時振戦が止まり,右左上肢・右下肢の固縮,右下肢の敏捷性,歩行,姿勢の安定性,動作緩慢,運動減少の項目に,改善傾向が認められた.2)PDQ―39は,大きな変化はなかった.【考察】今回の治療において,日常生活動作・運動能力の改善が認められたことは,固縮の緩和によるものと思われる.【結語】本症例は,薬物治療に,鍼治療・灸治療を併用して,鍼灸治療の有効性と有用性を認めた.主訴の筋収縮感としびれは,灸治療においてより症状の改善傾向を認めた. |
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