ID:A00316-00043-10104 |
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2072-P-C1(1)-11:48
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埼玉精神神経センターの入院患者に対する鍼治療の実態調査
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○井瀬美由季1,2,菊池友和1,2,千々和香織1,山口智2,丸木雄一1 (1埼玉精神神経センター 神経内科 東洋医学,2埼玉医科大学 東洋医学科)
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目的:我々は神経難病患者に対する鍼治療効果を本学会や関係医学会に報告し、疼痛や便秘等の愁訴の改善とQOLが向上することを報告してきた。今回、特殊疾患療養病棟・神経集中治療病棟での長期入院やレスパイト入院中の患者に対するチーム医療の中で鍼灸師の役割や課題を明らかにするため、実際に鍼治療を実施した入院患者の実態調査を行った。方法:対象は2011年~2017年に当院で長期入院・レスパイト入院中に鍼治療を実施した者。性別、年齢、主訴、基礎疾患、罹病期間、入院形態、経管栄養、人工呼吸器の使用、鍼治療実施への経緯について調査した。結果:対象は14例。男性8例、女性6例。平均年齢64.4±9.8歳(mean±SD)、主訴は腰痛、頸部痛、下肢痛など、基礎疾患は筋萎縮性側索硬化症10例(71.4%)、パーキンソン病2例(14.3%)、ギランバレー症候群、末梢神経障害性疼痛各1例(7.1%)、平均罹病期間1800日。入院形態は長期入院10例、レスパイト入院3例、他1例。経管栄養10例、気管切開下の人工呼吸器装着9例。鍼治療実施への経緯は主治医からの紹介10例、本人の希望2例、家族の希望2例。考察:今回の対象は重症度の高い神経難病患者や疾患が重篤化した例であり、症状緩和を目的とした主治医からの紹介が最も多かった。病態の進行や気管切開で発声困難の患者はコミュニケーションに筆談・文字盤等が用いられている。医療依存度の高い患者への施術時には医療機器のチューブ回路など施術環境への配慮が必要であった。鍼灸師が神経難病患者へのチーム医療に参画する為には患者との意思伝達方法や専門的な医療に関する知識と技術が必要と考える。結語:神経難病患者に対するチーム医療の中で患者の症状緩和に鍼治療の期待は大きいことから、鍼灸師は安全で円滑に施術を行うための高度な知識や技術を習得しなければならない。 |
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