ID:A00316-00047-10066 |
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\a\門穴と旁谷穴を含む経絡経筋治療が有効だった呂律障害の1症例
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○伊藤剛1,小田口浩1 (1北里大学東洋医学総合研究所)
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【目的】これまで本学会にて、本態性振戦に対する\a\門穴の雀啄、遅発性ジスキネジアに対する旁谷穴(伊藤)の雀啄について症例報告を行った。今回、北里方式経絡治療に加え、\a\門穴と旁谷穴の雀啄を行い、原因不明の呂律障害が改善した症例を経験したので報告する。【症例】48歳女性の教師。30歳頃より下腿浮腫があり利尿剤を使用。X-5年より睡眠中に舌が喉に落ち込みいびきが酷くなり、講義や講演の際にも呂律が回らず支障が出るようになった。人間ドックにて頭部MRI、頭部・頚動脈MRA、胸部CR、血液検査などを行うも原因は不明。治療方がない上に、顎関節痛、腰痛、手指振戦などの症状もあるため、X年6月当鍼灸外来を受診した。【治療・経過】北里方式経絡治療として六部定位脈診に基づく本治穴(主に肺虚証か腎虚証)と共通基本穴の治療に加え、標治として腰痛に灸頭鍼、顎関節痛などにも追加置鍼を行うと同時に、呂律障害に対しては風府穴、八風穴の置鍼に加え、\a\門穴(刺入深度1cm)と足陽明経筋上の旁谷穴に雀啄を30秒間行った。鍼は灸頭鍼以外、40mm(径0.23mm)のディスポーザブルステンレス鍼を用い、置鍼は15分間行った。旁谷穴と\a\門穴の雀啄の施行直後から自然な会話ができるほど呂律障害は改善し、VASでは初診時の治療でも治療前61mmが治療後19mmまで改善した。また顎関節痛、腰痛、手指振戦などの他症状も治療直後から改善したが、疲労すると症状が再燃するため治療は継続中である。【考察】本症例の呂律障害は、舌の膨化と運動障害が関与していると考えられるが、運動性構音障害のうち脳卒中や脳腫瘍は否定的である。しかしパーキンソン病、多発性硬化症、ALSなどの初期症状の可能性を考え、今後も経過観察が必要である。【結論】構音障害の治療穴とされる\a\門穴と足の陽明経筋上にある旁谷穴の雀啄を含む経絡経筋治療は、原因不明の呂律障害に対しても即効的な改善効果のあることが示唆された。 |
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