ID:A01398-00015-10033 |
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大腿骨近位部骨折連携パスの問題点 骨粗鬆症治療と対側骨折発症
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○上田康博1,三崎智範1,林雅之1,石黒 基1,中西宏之1,上野琢郎1,村田淳2 (1福井県立病院,2福井県こども療育センター)
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【目的】当院の地域連携パスは、おもに術後のスムーズな転院を目的として運用されている。近年、大腿骨近位部骨折術後の対側骨折が問題視され、地域連携パスに骨粗鬆症の治療を取り入れて対側骨折を予防する工夫が報告されている。今回、大腿骨近位部骨折症例の骨粗鬆症治療の有無、対側骨折について調査し問題点を検討した。 【方法】2011年から2013年に大腿骨近位部骨折の手術を行った458例のうち、高エネルギー外傷を除く406例を対象とした。男性96例、女性310例、年齢は平均80.6歳(43~103歳)であった。これら対象について骨粗鬆症治療、対側骨折の有無を調査し、両側骨折例については初回骨折から対側骨折までの期間、リスク因子(年齢、BMI、骨粗鬆症治療、喫煙、飲酒、ステロイド内服、併存症、脆弱性骨折)について検討した。 【結果】受傷前から骨粗鬆症治療が行われていたのは48例(11.8%)、受傷後に治療を開始されたのは16例(3.9%)であった。両側骨折は43例(10.6%)で、男性7例、女性36例、年齢は平均83.6歳(58~102歳)であった。初回骨折から対側骨折までの期間は平均32ヵ月(45日~9年3ヵ月)で、1年以内が15例であった。両側骨折のリスク因子に関する多変量解析では年齢(Odds比1.05)、パーキンソン病(同3.67)が有意であった。 【考察】当院では大腿骨近位部骨折の手術治療が優先され、骨粗鬆症の治療に関して十分でないことが明らかになった。現在は地域連携パスに骨粗鬆症治療を取り入れておらず、今後は両側骨折のリスク因子も考慮し骨粗鬆症治療に積極的に取り組むことで、対側骨折や脆弱性骨折の予防に努めるべきと考える。 |
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