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23-日航-M-2-4
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水分管理へのアプローチ
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○永瀬和枝1,丹下千里1 (1介護老人保健施設 シルバーピア加賀)
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| 【はじめに】 老人保健施設では、一般病院のように血液検査、レントゲン撮影等の諸検査が実施されず、明らかな諸症状が無い限り、脱水・予防的水分管理の必要性の評価が困難である。水分不足が懸念されても高齢であり、ADLの低下又、認知等の状況で自主的に水分摂取が不可能な場合が多い。そこで確実に水分補給が出来るよう看護、介護職員が協力し合い試みた。【方法】 脱水を懸念されまた、水分管理が必要と思われる利用者様をピックアップし数名を選択。「老健」に於ける水分管理であり、血液検査、レントゲン撮影等の諸検査が行えない事を主体に考え、リスクの問題から研究期間を8月1日~10月31日の3か月間とした。その際、心疾患、腎疾患の既往歴のある利用者様は除外した。夏期の為、脱水も懸念されたが高齢者が多く心臓、腎臓への負担を最大限に考慮。当施設に於ける食事に含まれる水分は1日量720ml~840mlである事を基本にし、食事以外の水分量として1日の水分量を1200ml目標とし設定。「朝食」「10時」「昼食」「15時(おやつ)」「夕食」「就寝」と6回に分け、各200mlずつ飲水を促がした。その際、嗜好の問題もあり、ポカリスエットを併用し開始。下記より数名のプロセスおよび結果を記述する。【事例、ケースに於けるプロセス】 数名の水分管理を行い成果が見られた事例を記載する。 <ケース1> I・T氏 女性 大正9年10月13日生まれ(87歳)要介護3 現疾患名:(1)尿路感染症、膀胱結石、水腎症、左右腎結石 (2)両変形性膝関節症 既往歴 :胆のう炎(手術)、脳梗塞(右片麻痺)、Bown病(右膝手術) 経過 :平成19年4月27日、脳梗塞後のリハビリ目的にて当施設に入所。安定経過されていたが、平成20年6月8日上記(1)の泌尿器系疾患発症。当施設関連の一般病院にて検査施行。手術適応と診断され近隣の大学病院併診するが、高齢の為に様子観察となった。疼痛の訴えなく血尿なし。リスクを考慮し、飲水での負荷が必要と考え以後1200ml/day目標とし、水分管理を開始した。 結果 :比較的認知度も低いケースであり、自力にて飲水可能な事もあり、水分管理は問題なく施行出来た。また、家族の希望にて尿路感染予防、尿路結石の改善目的の為、サポート飲料である、「クランベリージュース」を持ち込まれ、ジュースを含め、飲水量が1200~1500ml/day程、的確に摂取。泌尿器疾患の発症もなく、現在も順調に経過されている。 <ケース2> K・T氏 女性 明治45年5月5日生まれ (95歳) 要介護4現疾患名:左下腿骨頚部骨折術後、骨粗鬆症、認知症既往歴 :腰椎圧迫骨折(平成10年)経過 :平成18年8月23日、当施設に入所され安定経過されていたが、平成20年1月2日、左大腿骨頚部骨折発症し、併設関連病院へ入院。人工骨頭置換術施行。軽快退院され平成20年2月8日再入所。前回入所中と比べADL低下し、歩行困難でありアルブミン2.7mg/dl、総蛋白5.0mg/dl、体重32.0~33.0Kgと低栄養状況であった。また食事のムラが見られ、水分も思うように摂れず、生活意欲の低下および、ADLも徐々に低下の経路を辿った。 上記の改善を主体とし、脱水予防の為水分管理を開始した。結果 :訴え、嗜好がはっきりされており、当初は飲水に対する拒否が強く見られていた為、ポカリスエット等を併用し施行。徐々に飲水量も増え、1100~1500ml/day程摂取されるようになった。食ムラに関しては声掛け、促しながら7~8割程度摂取され、生活意欲も向上し、僅かではあるが体重増加にも繋がっていくように予想される。【結果】 疾患などを考慮し数名をピックアップし水分管理を試みたが、認知、高齢に於いて睡眠サイクルの把握が出来ず、的確な水分摂取が困難であり、諸症状の発生も見られた。また、自覚症状等の有無の確認、浮腫の程度の把握が困難であった。成果としては尿路感染の防止(予防)、生活意欲の向上が見受けられ、水分摂取を促がしていく事で、生活のリズムが整い、活性化に繋がったように思われた。【考察】水分管理を行う上で各フロアーにアンケートを配布し意識調査を行った事で多くのスタッフに水分管理についての声を聞く事が出来た。「義務的に提供しない」「1回の提供量を考慮する」「本人の嗜好に合わせる」「バリエーションを豊かにする」「ジュースレクリエーション等に取り入れてみる」等、様々な意見を把握する事が出来た。今後これらの意見に対し、「どのように活用していけるのか」という課題を持つ事で老健に就労している私達看護、介護職員が更に水分管理に対し、認識していく事が重大であると痛切に感じた。水分管理は各疾患に於いての原点であり、水分の必要性が懸念されても高齢に於ける認知症、生活活力の低下の為、的確に水分摂取を促がしていく事は困難である。今後職員側での認識の強化が必要であり、その際、各利用者様の疾患、それに対しての程度、体内ボリュームとしての浮腫の有無等の把握に努めていく事がテーマである。かつ的確に水分管理の実施が出来るよう検討していく事が望ましい。ミーティング、勉強会等を活用し、水分管理を行えるように努力していきたい。 |
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