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第23回全国介護老人保健施設大会 美ら沖縄

園芸療法

○宇賀神雅巳1,荒川雄平1,小寺あゆみ1

1介護老人保健施設 シルバーピア加賀)

園芸療法
~認知症における問題行動との関係について~

[目的]
「大自然の中に浸ると大らかになる」「緑を見ているとすがすがしく、また落ち着いた気分になる」等と言われるように、花や緑などを育てる園芸は情緒を安定させ穏やかにする精神面に対する効果を持ち備えている。そこで今回園芸を利用して、不穏や帰宅願望等の問題行動と園芸療法による軽減における関係性について研究する。

[研究期間]
平成23年8月~10月

[研究対象者]
●S・A様 92歳 女性 要介護度4 認知度3a
●C・T様 85歳 女性 要介護度3 認知度2b
●Y・K様 89歳 女性 要介護度2 認知度2b

[研究方法]
認知症専門棟ベランダにて実施。利用者様ごとの問題行動について挙げ、園芸という作業を通して、その軽減へ向かうかどうかを評価する。週3~4日のペースで実施し、作業内容・作業中の発言・様子・表情を記し、独自の評価基準を5段階で統一し、実施した日の問題行動に対しての評価をする。

[結果]
●S・A様 当初は不穏のある日もあり、精神状態における波はあったが、9月に入ると日中・夜間通して見られた問題行動もあまり見られず、10月にはほとんど見られなくなった。園芸を実施したことも覚えておられ、積極性も芽生えてきた。精神的機能がプラスに変化し、突発的な不穏や立ち上がりも激減した。

●C・T様 当初は実施しても不穏な行動が出て、全体的に波があったが、9月に入ると問題行動も減少し、結果が出始めた。10月にはほとんど見られなくなった。園芸を実施したことを思い出して、歌を歌ったり得意気に話す場面も見られた。花を摘み取り、しおりにされ飾られた。精神機能も向上し、帰宅願望や精神的不安も減少、自らの位置を見つけた様に思えた。

●Y・K様 当初は結果はまずまずも体調不良でなかなか実施出来なかったが、9月に入ると不穏な言動や行動が見られ、結果も伸び悩む。10月は体調不良等でほとんど実施出来ずにいたが、途中、ゴーヤを摘み取っては喜んでいた。精神的機能も波があり、死に対する訴えを軽減するまでには至らなかった。

[考察]
園芸療法は、植物を通して土に触れ、花に触れ、葉に触れ、水に触れ、「生」を肌で感じることが出来る場所である。見て感じて触れて喜び育つ楽しみを与えられる。活動の成果を人々と分かち合う事を通じて、その人の存在価値を自覚させ、生きがいをもたせる手段となる。実際に利用者様を誘導すると、拒否や険しい表情になることもあったが実施されると穏やかな笑顔になられた。このように園芸には情緒を安定させ、穏やかにする効果があると思われる。やりがいや楽しみも増え、日常生活の活性化や意欲の向上につなげることが出来た。それは、限られた空間のベランダでも長い施設生活を余儀なくされている利用者様の精神的機能において、記憶力の向上や不安の減少などが可能であることがわかった。継続することで、利用者様と職員の間で嬉しさや心地よさの気持ちの共有が出来た。限られた活動のみでは、利用者様の受け身の立場・役割は変わらず、老健施設を主たる生活の場として送る利用者様にとって、環境作りや交流を含めた沢山の輪を作ることも精神的機能の維持・向上(問題行動の減少)において今後の課題といえよう。

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