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第23回全国介護老人保健施設大会 美ら沖縄

認知症専門棟外出行事事例発表

○畠岡光浩1,芦沢弘一1,佐々木昌弘1

1介護老人保健施設 ウイング)

認知症の専門棟には40名の利用者が生活をしている。外出は基本的に家族同伴での外出となる。しかし家族が来設し外出するケースは多くはない。全く外出する機会がない利用者が殆どである。このような利用者が外出の機会があるとすれば、施設の送迎車で病院に受診する場合くらいだ。専門棟のある4階は他階に比べ景色が良く、また外からの明かりが多く窓から入る様に設計されている。そして東西に長い廊下がある。なかなか開放感のある造りになっている。また少しでも気分転換が図れる様に、日替わりのレクリエーション、体操、料理クラブ、四季クラブ、書道クラブ、茶道クラブ、お化粧クラブなど行っている。しかし長い期間を同じ建物の中で過ごすということは利用者にとって大きなストレスであろう。このようなことから毎年一度、外出行事を行っている。昨年はちょうど4階の外出行事の行われる予定であった3月に大きな震災があり、計画停電、毎日ガソリンスタンドに長蛇の給油待ちの行列ができ、ガソリン不足が起こってしまい、余震も頻回に起こっているという状況により中止を余儀なくされた。今年も余震はまだ多く続いているが、3月25日の日曜日に外出行事が行われることとなった。専門棟の行事係が中心となって準備を行い、総務部、看護部、支援課、栄養課、リハビリ課、施設整備課、2階、3階に協力を頂いた。40名の利用者を一度に外出することは移動手段を施設の送迎車を利用することと、出来るだけ利用者を職員がマンツーマンで対応することが望ましいという思いから午前と午後の2回に分けて行うこととした。行き先は施設から片道20分程度で福祉手帳のコピーを持参することで利用者一名に対して付き添い者一名が無料になり、四季折々の花が咲き、公園内自体が建物の博物館になっている府中市郷土の森博物館を選出した。3月25日は桜はまだ咲いてはいないが、梅まつりとして梅が見頃となっている。前日は雨天であり気候的にも肌寒さも残っている事を予想して上着を準備した。また普段は施設内を独歩されている利用者も、長距離歩くと疲れて歩けなくなるという事が予想されるため、歩行の状態により車椅子に乗車して頂いた。また途中で歩けなくなる方も出る事を想定し、予備の車椅子も準備した。各スタッフの連携により大きく遅れる事も無く概ね予定通り実施する事が出来た。普段、帰宅要求のある利用者も梅を見て「奇麗ね。」と顔をほころばせていた。家族同伴の利用者も笑顔で散策されていた。当初は博物館を入ってすぐの芝公園にて全員で記念撮影をする予定であったが、連絡がうまく行かず先行したグループが芝公園を通り過ぎて先に進んでしまったため、もっと奥の梅園での記念撮影となった。これが予定外の収穫となり、芝公園では彩りの少ない殺風景なものになったと思われるが、満開の梅に囲まれたすばらしい記念写真になった。各スタッフが携帯電話で連絡をこまめに取り合うことにより、ただ予定通りに園内を廻るのではなく、面白い散策が出来たと思う。しかしそのために当初予想していた歩行距離より長くなり、途中で歩けなくなる利用者が何名か出たが、予備に用意した車椅子を使用する事により無事に送迎車までたどり着けた。施設に帰ってからも利用者が普段より精神的に落ち着いており、スタッフの「外出はどうでしたか?」との問いに、普段あまり笑顔の見られない利用者が「良かったよ。」と笑顔で話して下さったり、いつもは16時には帰宅要求からフロアを徘徊する利用者も少なく、和やかに落ち着いた雰囲気で過ごされていた。少し前の事を忘れてしまう重度認知症の方も、外出中は笑顔が多く見られただけでも十分に意義があると言える。

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