ID:A01794-00019-10597
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第24回全国介護老人保健施設大会 石川 in 金沢

こんなに変わりました!+αの効果まで・・・

○宮森俊輔1,河野千恵子1,芦沢弘一1

1介護老人保健施設 ウイング)

【はじめに】
 当施設、介護老人保健施設ウイングは東京都府中市に平成11年11月に開設した、一般棟100名・認知症専門棟40名・DC40名の施設である。
 ウイングでは、“人と社会のケアを通じて、健やかな未来社会を創造する”という、法人の組織理念に基づき、利用者が安全にそして安心して施設で生活し、施設生活という集団サービスの中にあっても、その人らしく、いきいきとした生活を送っていただけるよう、これまでに様々な取り組みを行い、現場のケアサービスに反映してきた。
 これまでのウイングにおける褥瘡対策検討委員会の活動は、各フロアの介護職に加えて、医師・看護師・リハビリ・管理栄養士・支援相談員等が参加していたが、その内容は、発生者の報告・情報共有にとどまっており、実際の褥瘡発生事例については、大きく分けて、
 1.一般棟において、褥瘡発生が多く、繰り返し発生している方が多い。
 2.好発部位として臀部・仙骨部が多く、逆に他の部位は見られていない。
 3.発生後継続して処置や体位交換を行うも発生回数の減少には繋がっていない。
といった課題があった。
 そんな中、平成24年6月、施設長が定めた事業所ミッションと行動目標のひとつに、「委員会の充実」が掲げられ、委員会における行動目標を設定し、自分達のやりがいと達成感を味わうこと・委員会の質の向上を図り利用者にフィードバックすること、が求められた。
 褥瘡対策検討委員会においては、「予防対策活動の確立」を目指し、月1回の会議の他、外部講師を招いての勉強会や全スタッフを対象とした勉強会の開催などを行ってきた。
 今回は、それらの委員会活動における取り組みと成果をここに報告する。

【経緯】
 1.各委員の目標意識の統一
 ・委員会が刷新され、その際、職員の自発性を考慮し、「立候補制」による新規発足となった。
 ・初回委員会開催時、施設長より、委員に期待する役割について説明され、目標を設定した。
 2.予防対策活動確立に向けた取り組み
 ・委員会に初めて外部講師を招き、褥瘡に関する基礎知識や予防対策のポイントについて、講義及び実技研修を行なった。
 ・研修をふまえ、「褥瘡リスクアセスメント表」を作成していくこととした。
 ・内部共有・協議の効率化を目指し、既存の議事録の書式活用方法の見直しを行った。
 ・現状把握を目的として、委員により、既存ご利用者全員のOHスケ-ルの測定を実施した。
 ・これまで用具使用ケース・再発リスクケースと、情報が散在していたリスク対象者を一括管理することを目的として、「予防対策対象者リスト」を作成することとした。
 ・褥瘡経過記録に、これまでイラスト記載だった発生部位を、写真添付していくこととした。
 ・対象者に対し、チームアプロ-チの充実を目的とし、月ごとの検討対象期間を統一した。
 ・施設内部に対し、「予防対策強化月間!」と告知した上で、リハスタッフ講師によるポジショニングの勉強会、委員以外も対象とした外部講師による褥瘡予防対策セミナー(トランス介助方法・ポジショニング方法に関する実技)の勉強会の開催とともに、検討していた帳票類の完成を受け、これまで定めた一連の活動を、「褥瘡予防対策フロ-チャ-ト」として形にし、内部教育を実施した。

【活動から得られた成果】
 ・予防対策プロセスが確立した。
 ・新たに、「褥瘡予防リスクアセスメント表」・「褥瘡予防対策対象者リスト」が完成した。
 ・プロセスの確立により、お互いの検討・対策内容が共有され、それに対する助言・提案もなされるようになり、単なる報告会が検討会に発展し、対策における連携・個別性が充実した。

【+αの効果】
 ・予防対策活動に取り組む中で、発生要因や用具の活用方法を学んだことから、既存の発生ケースの対策も充実し、プロセス確立を待たず、発生件数が激減した。
 ・介助方法に起因する発生が明確化したことで、委員個々の意識改革ができ、内部に働きかけたことで、施設全体において介助力向上に向けた取り組みが展開されている。
 ・予防対策活動から派生して、既存発生者の共有方法にも話が及び、議事録書式を見直したことで、スタッフ個々・職種を問わず、統一した対応が効率よく共有・徹底しやすくなった。

【おわりに】
 現在、委員会において、課題の共有・各職種ミーティングからの提案や問題提起を客観的に検証する事が可能となった。委員は決定事項や結果を各部署に持ち帰り、用具の適正使用に向けた啓蒙活動や、現場での教育活動の中心となって活動し、そこから新たに出た課題や進捗を、翌月の委員会に持ち寄る、というPDCAサイクルが途切れる事なく機能している。
 これからも、より充実した活動を継続し、今回の活動と同様に自分達のやりがいや達成感を実感しながら、顧客に対しより一層の高品質なサービスの提供を目指していきたい。

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