ID:A01794-00019-10817
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第24回全国介護老人保健施設大会 石川 in 金沢

安楽な姿勢にむけて

○中原信子

1介護老人保健施設 あいの里リハビリ苑)

【はじめに】ポジショ二ングとは、運動機能障害を有する者にクッションなどを活用して身体各部の相対的な位置関係を設定し、目的に適した姿勢を安全で快適に保持することであり、その目的は、1)褥瘡予防2)拘縮・変形予防3)筋緊張の緩和と調整4)呼吸の改善5)浮腫の改善6)姿勢の安定により活動を促す7)座位や立位の準備と言われている。現在、数名の入所者にロンボスネーククッション(以下「スネーク」と省略)を使用しており、その中でも筋緊張が強く入所時と比べ両上肢の拘縮が進行している入所者に対し、筋緊張を緩和させ安楽な姿勢をさせる事を目標に取り組んだ一例を報告する。【事例紹介】<氏名> U.S様 74歳 男性 要介護5 障害ランクC2 認知度2b<現病・既往>パーキンソン病 脳梗塞後遺症 肺炎 脳動脈瘤未破裂手術後 嚥下障害<排泄>全介助 おしめ使用<基本動作>全介助 臥床生活 入浴日以外離床せず<入所までの経過>パーキンソン病にて平成16年頃より通院治療し、平成21年3月脳動脈瘤未破裂手術施行、その際脳梗塞を発症する。平成22年2月肺炎となり平成22年3月胃瘻造設。在宅サービスを利用しながら生活を送っていたが肺炎により入退院を繰り返す。入院中に右側胸部後方0.8×1.8cm 脊椎左側2.1×1.8cm 仙骨部2.0×1.2cm 左転子部2.8×1.8cmの褥瘡を発症する。平成23年1月13日在宅生活困難となり当苑に入所となる。【実施内容】<目標>筋緊張を緩和させ安楽な姿勢を目指す<実施期間>平成24年6月26日から現在まで<方法>ケープ製PaimQにて体圧測定を行う【結果・考察】(体圧分散単位mmHgは省略)体圧分散結果より、ケープ製ビックセルエアーマット(以下「エアーマット」と省略)のみのポジショニングでは、右踵に92.3左踵62.7と体圧が特に高く、1のポジショニングでは、後頭部41.9右踵50.8左踵48.8で体圧分散目標値である32を超えている。入所当初は褥瘡形成があり褥瘡部を除圧する目的で実施していた為、褥瘡のない頭部と両踵に体圧が加わっていた事は当然の結果と言える。また、体には凹凸があるため圧力が大きい箇所と小さい箇所が発生する。圧力の差を縮め平均化するように身体の凹凸に合わせて隙間を埋める支えが必要となる。しかし、体圧測定結果から分かるように平均化されていないので安楽な姿勢とは言えない。2のポジショニングでは、後頭部に51.6右肩甲骨29.2左肩甲骨30.5で1のポジショニングと比べ体圧が高くなっているが、右踵11.8左踵24.4と減圧できている。下半身は大型ピローを使用する事で、下半身全体に支えがあり接地面積が十分にとれているため体圧分散でき安楽な姿勢であると言える。しかし、上半身はナーセントパットで身体を支えているため接地面積も少なく体圧も1のポジショニングよりも増強し体圧分散不足であり安楽な姿勢とは言えない。3のポジショニングでは、スネーク使用のため身体の曲線に沿って曲がり220cmと長いので全体的な支えを形成でき、また、ナーセントパット使用時のように継ぎ目や段差がなく緩やかなカーブで肩回り・上半身を支える事ができ、下半身も同様に大型ピローを使用し下半身全体を支えているため体圧分散ができている。各ポジショニングの平均値では、エアーマットのみが一番高く33.3で、次いでポジショニング変更毎に平均値は下がっている。高い体圧値と平均値の差を比較してみるとエアーマットのみでは59と一番差が開いており、反対に平均値に一番近いのは3のポジショニングの13.8であった。平均値の差が、1と2のポジショニングで逆転している事に関しては、1のポジショニングは、褥瘡形成がある上半身全体を中心に体圧分散していたことで頭部と踵の2か所に加わる体圧が特に高くなった事、2のポジショニングでは、大型ピローを使用した事で下半身中心に体圧分散し頭部と上半身の広範囲に体圧が加わる結果となったと考える。以上の結果から、3のポジショニングが一番安楽な姿勢に近づいていると言える。【まとめ】安楽な体位についてのポイントは、『基底面積が広く、安定していること・同一部位へ時間の圧迫が加わらないこと・筋肉や臓器への負担が小さいこと・生理的に疲労しにくく、心理的に安定していること』である。このポイントに気を付けながらポジショニングを考えているが、スタッフ側の考える安楽な姿勢と、実際に入所者本人が感じる安楽な姿勢が必ずしも一致するとは限らない。入所者の身体的特徴もあり、状態もいつも一定ではなく、その都度確認することが必要となる。自分で訴えることの出来ない入所者の場合は、状態や表情をよく観察しながらポジショニングを考えることが大切になる。そのため、ポジショニングの知識や技術を学ぶだけでなく、入所者の観察も行えるようになっていきたい。【おわり】当苑ではこの他にも、呼吸の改善、褥瘡の改善・防止、食事摂取時の誤嚥防止目的でスネークを使用しポジショニングを行い成果が出ている。入所者によってポジショニングの目的は違ってくるため、目的をよく理解した上で福祉用具をうまく活用して行きながら、安全で安楽なポジショニングを提供出来るよう努めていきたい。

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