ID:A01794-00020-10670 |
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17-第17-P6-3
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うちがやらずにどこがやる!?
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○太田孝夫 (1介護老人保健施設 ウイング)
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【はじめに】 近年、独居高齢者世帯の増加により、当施設においても、身寄りのない高齢者や、遠方に在住の親族しかいない高齢者の相談が増えているが、これまで、身寄りのない高齢者については、保証人や金銭管理の問題等により、受け入れが難しいこともあった。 在宅サービスを利用しながら地域で暮らしている単身・独居の高齢者や、遠方に在住した親族しかいない高齢者が、在宅生活継続が困難な状況となり、緊急で一時的に宿泊のサービスが必要になった時、緊急ショートステイなどの受け入れ枠にも制限があり、自宅近隣でのサービス確保が困難化している状況が見られる。 また、老健に相談をしても、身寄りがない・身元保証人がはっきりしない、等の理由で受け入れを断られる・受け入れ可能となっても遠方である・受け入れまでに時間を要す、等、迅速で円滑なサービス利用に至ることが少なく、地域包括や行政でも、困難ケースとして頭を抱えている状況である、といった話を伺うことがあった。 馴染みのある地域で生活することが、どれだけプラスになるかを考えた時、単身である・近くに親族がいない、という、最もニーズが高いにも関わらずサービス利用が制限されている方々の置かれている現状をふまえ、どうしたら受け入れることができるのか・どうしたら地域で支えていかれるのか・単独型の老健として、どこまで対応をしていかれるのか、我々の施設でも考えていかなければ、と、日々感じていた。 「考えているだけでは何も解決しない」「行動しなければ何も変わらない」、と思い立ち、できる限り受け入れる方向で支援を開始している今、実際に受け入れていく中で、どのような対応が大切なのか・今後の課題は何かを考察した。 【身寄りのない利用者の受け入れ状況について】 ・平成23年度~平成25年度の過去3年間の受け入れ状況 ・契約者:生活保護CW、地域包括、市役所 【単身で遠方親族による保証人対応の利用者】 平成26年4月現在、保証人が他県の方についての状況 関東:6件/東北:3件/中部:1件/東海:1件 ※多くのケースに地域包括、行政、権利擁護センターが介入している。 【考察】 ○受け入れる上での問題点 ・誰がどのように役割を担っていくのか、誰がキーパーソンを担うのか。 ・家族が遠方の場合、どこまで協力してくれるのか・どこまで担ってもらうのか。 ・成年後見人選定までにかかる時間。 ・自宅生活が困難となった場合の退所先選定の限界。 ○受け入れのための確認点 受け入れていくにあたり、大切なのは、やはり『役割分担』である。地域の関係機関や単独型の老健としてどこまでを担えるのかそれぞれの果たすべき役割を明確化し、共有し・連携していくことではないのかと思う。 受け入れるにはあたっては、下記の4項目をポイントとして、確認を行っている。 (1)金銭管理 (2)契約 (3)身の回りの支援 (4)方向性に向けた支援 【課題】 ・関係機関との連携、現場スタッフ及び施設全体への理解と協力体制の構築 ・施設相談員のマネジメント能力のスキルアップ 【おわりに】 ・受け入れるにあたり、置かれている状況・関係機関・親族の状況により、1つとして同じ事例はなく、ケースごとに必要な役割分担が異なる為、ケア地区会議やカンファレンスの必要性を強く認識しており、関係者全体で対象者を支えるための共有・協議・役割分担が不可欠であることを実感している。 ・その人がその人らしく生きること=健やかなる老いを地域で支えていく為に、地域に必要とされる、なくてはならない施設であり続け、かつ、効果的に利用していただけるよう、行政・地域包括・居宅ケアマネジャー・権利擁護センター等の関係機関との相互理解と協力体制を整えていくために、今後も行動し続けたいと思っている。 |
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