ID:A01794-00020-10719 |
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17-第20-F9-7
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笑顔のその先に
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○大谷信之1,大橋哲子1,長嶋恵梨香1,大西智子1,渡部里恵1,南部愛里1 (1介護老人保健施設 アゼリア)
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【はじめに】 認知症専門棟での処遇はご利用者個人のアプローチ、集団へのアプローチと多岐に渡り工夫を要す。またこれに加え間接業務や他階との連携、これらを限られた時間、限られた人数で行う必要がある。これにより常に時期・状況に応じた処遇の創意工夫、プロセスの変更を繰り返しながら運営している。当施設においてもご利用者の処遇(集団・個別)、事故に対する工夫は通年の課題である。2014年2月に老健大会東京では、その処遇方法について発表。今回は取り組みを継続した結果、フロア内の処遇・リスク管理の経過について発表する。 【目的】 ・小グループ制の活動によりフロア内の事故が減少する。 ・フロア内の処遇検討でリスクが高いと評価した3名。 ・活動場面を増やし、フロア内の活性化に繋げる。 【対象者】 ・認知症専門棟のご利用者全員。 ・上記の内、ご利用者3名を選出(他者トラブル+転倒・徘徊+転倒・歩行不安)。 【方法】 ・期間中のフロア内の事故発生件数を期間中(6ヶ月)と取り組み前(6ヶ月)で比較。 ・利用者3名を選出。個別処遇における影響を上記期間と同様に比較。 ・取り組み期間中の参加状況と事故発生件数を比較し、小グループ制(飾り付け)が有効であるか検証。 【実施期間】 2013.12~2014.5(現在も継続取り組み中)。 【結果】 ・実施期間中と前6ヶ月で比較。著しい減少は認められなかった。 ・対象者全員にそれぞれ何らかの事故が発生。 ・活動場面は従来活動、レク、クラブ、フロア内イベント、行事と幅は広がった。 それに伴う、事前の活動なども増え、活性化に繋がった。 ・選出した3名は毎日活動に参加することができた。 【考察】 ・小グループ制と現在の活動について、有効性の証明が行えなかった。 ・高リスク者へのアプローチは、少人数の活動であっても、配置により限界がある。 ・活動に対するアンケート(利用者生の声・家族・内部意見)は施設内感染症対策の為、行えず。 ・インシデントの活用方法は今後も課題。 ・活動内容やご利用者については、ご家族からも意見を募る事で、さらなるアイデアに繋がる。 【まとめ】 認知症専門棟で行っている様々な活動は、事故予防・防止の為だけに行っているわけではない。ご利用者の活発な生活支援の為が主たる目的である。但しフロア内の処遇や活動の運営などは、限られた時間や変則勤務の中で作業を行う事になり、連続性や連動性が重要である。今回、少人数性の活動と事故全体の統計との因果関係は証明するに至らなかったが、高リスク者が活動に参加出来れば事故回避に繋がる事は必然な為、高リスク者の活動参加は重要であると捉えていくが、そういった個別性だけではなく、そこからの集団活動の幅も広げていきたい。 また今回は測定可能なデータ全てを集めたが、活動の全てを数値で追いかける事は難しく、レクや行事時間以外のちょっとした空き時間を使って関わるなど、実は職員が時間に縛られず積極的にご利用者へのアプローチを行う場面も見られた。ご利用者に対するリスク管理も非常に重要であるが、こういった活動が、ご利用者自身の生活リズム作りのきっかけ、集中する時間、徘徊利用者の休息時間に結果として繋がり、職員もご利用者の安全に対する意識をしつつも、自然とお互いに安心できる関係作り、親近感の湧く時間作りに邁進したい。現在のこの活動は継続し、活性化を図る為、レクアンケートや各職員の活動に加え、家族の参画とリスクマネジメントにも着目しつつ、様々な活動を通じてフロア全体の活性化に繋げていきたい。 |
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