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第26回全国介護老人保健施設大会 神奈川 in横浜

4-第20-L14-5

非定型目的意識から焦点型目的意識への移行

○上村淳

1介護老人保健施設 なごみの里 リハビリテーション部)

【はじめに】現在、当事業所では平均45名/日、年齢層として40代から100歳代の利用がある。その利用者の多くは、病院退院後間もない方や他通所施設より転入が多く、物理療法や機能訓練等に依存し、何となく利用している(非定型目的意識)方が多い。そこで、当施設では、法人基本理念「希望と生きがいのある医療福祉の創造」や平成27年度の介護保険の改定における「活動と参加」のキーワードをふまえ、ただ通所リハに通う(非定型目的意識)だけでなく、在宅生活で生活行為向上を視野にいれ、今までの取り組みを見直しているところである。そこで、以下に失敗例と成功例を報告する。
【症例紹介】
(症例1)60代、女性、頚椎症性脊髄症/腰部脊柱管狭窄症、要支援2、通所リハ、「基本的にADLは自立しているが、生活することに不安を感じリハビリという言葉に依存している」
<生活評価>:BIやFIMでも満点、HDS-R30点、今後の自分に不安を感じ「リハビリ」=「受け続けなきゃいけない」と思っていた。
<面接評価>:本人と話をするうちに「立ち上がり/立位/歩行の不安定さ」=「転倒への恐怖心」=「外出(買い物)機会が少ない」と思っていることがわかった。
⇒<リハビリプログラム>:自主トレ指導/チェック(機能訓練)5min、歩行訓練(ノルディック「W-cane」)15min、フィードバック/宿題の提示10min
⇒10ヶ月後には「屋外歩行」はノルディック「W-cane」にて自立、買い物時にはリュックを背負い見守りになった。本人・包括と相談し終了となった。
(症例2)60代、男性、くも膜下出血、要支援2、通所リハ、「回復期退院後周囲に通うことを勧められたが、高齢者と一緒に通所することに失望している。」
<面接評価>:「退院後転倒はないものの、自分が受症したこと」=「自分は障害者」=「おとなしくしてこういう施設に通わなければならない」と思っていることがわかった。
<生活評価>:BIやFIMでも満点、HDS-R30点
<その他>:担当者会議の中で本人の趣味等をヒヤリングしたところ、「ゴルフ」がキーワードと判断し、リハビリプログラムに導入することを提案。奥様には猛反対を受けたが、年齢も若くこのまま要介護状態になることへの懸念を説明し渋々了解を得る。
<リハビリプログラム>:自主トレ指導/チェック(機能訓練)5min、ゴルフプログラム(swing/ゴルフバックを背負い歩行訓練/定期的な打ち放し)
⇒8ヶ月後には「卒業式(打ち放し)を実施」問題なしと判断、家族・ケアマネに伝達し、その年には東京都介護老人保健施設大会に共同演者として壇上へあがり終了(卒業)となった。
(症例3)50代、男性、要介護2、パーキンソン病/大腿骨頚部骨折、訪問リハ「パーキンソン病と診断され、転倒骨折をし、再転倒が怖くて閉じこもり状態」
<生活評価>:自宅内での生活は自立、屋外には受診時のみヘルパーを利用して外出、機能的には屋外も歩行できると思われるが・・・。
<面接評価>:「奥様を亡くしたばかり。併せて自分がパーキンソン病になった。転倒し骨折した。じっとしているべきか・・・。」「趣味が野鳥観察。でもこの状態では屋外に出れないのでしょうがない。靴を履こうとして転んでしまう。」※進行性の疾患のため、リハビリ依存しないように信頼関係を構築しつつ、今後について話し合う。そこで「靴の脱着」と「歩行の安定」を目標とした。
<リハビリプログラム>1,評価していくうちに「靴の着脱時のかがむ姿勢ができない。座位で行うもかがめない。バランスを崩し全方へ転んでしまう。」と評価した。
⇒市販の靴ひも「キャタピラン」を使用し、立位のまま着脱できるようにし、着脱の練習を実施。2,前傾姿勢と軽度突進が見られたのでノルディック「W-cane」での歩行訓練。1,2ともに獲得でき病院受診時・野鳥観察もできるほどに・・・。訪問リハビリとしての役割(ゴール)達成とし終了とした。
(症例4)60代、女性、くも膜下出血、要介護3、通所リハ「回復期後生活意欲がないけど・・・通所は年寄りの場でしょう?」
<生活評価>:スタートは訪問リハからの開始であった。足関節に可動域制限はあるものの歩行も可能だが、生活意欲なく閉じこもり状態。家庭内役割(家事等)ができるようになったため通所リハビリの開始となった。
<面接評価>初回評価時にヒヤリングにて「運動ができるようになりたいな・・・。」をキーワードとし、大きな目標ではあったが「昭和記念公園マラソン大会」への出場を目標とし、リハビリプログラムを行った。
<リハビリプログラム>⇒関節可動域訓練(5min)、HR管理での歩行・小走り・エルゴメーター(30min)、フリー歩行(利用中2h)
⇒事務長/PT/OT/看護師/介護士/相談員でサポートチームを作り出場、当日は相談員が「伴走者」となり走破した。これがきっかけで「自分も出来ることは多い」と気づき、生活の活動範囲は広まった。が、広がりすぎて本人の一番の楽しみであった「食べること」までのサポートはできず、美味しいものを求めて活動的になり、現在では20kg近く体重が増えてしまい、、、現在に至り、通所リハ継続中である。
【考察】病院回復期リハ後の改善は緩やかであったり、身体機能的回復は難しい。しかし、何となく「リハビリ依存」してしまいがちな利用者も多い。(非定型目的意識)そこで本人の思い・家族の思い含め焦点を定め生活の向上を行う(焦点型目的意識)ためには、他職種との連携/本人意欲の引き出すためにも、「コミュニケーションテクニック」の必要性を痛感した。また、今までの内容を見直し、失敗したケースのように達成後のフォローを忘れてはいけないと感じた。今回の介護報酬の改定における生活行為向上の評価(MTDLP)を改めて使用し、評価・検証していきたい。

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