ID:A01794-00022-10376
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第27回全国介護老人保健施設大会 大阪

15-第1-L2-4

通所リハビリテーションの卒業支援

○三岡相至

1介護老人保健施設 マイウェイ四谷)

【はじめに】
平成27年の介護保険法改正では、通称「だらだらリハビリ」といわれている漫然と機能訓練を繰り返していることや、長期継続またはプラン変更のない通所リハビリテーション(以下「デイケア」と略す)を批判し、活動と参加の目標を達成する支援を行うことを強調した。デイケアの利用目的が、医学的管理、心身・生活活動の維持・向上、ソーシャルケア、レスパイトケアの4つの機能を組み合わせによる「自立した生活」と「安定した生活」を支援するものであるにもかかわらず、目標到達後を見据えた利用とはなっていないことがある。具体的には、心身機能や日常生活動作や生活関連動作などの活動がプラトーに達してその人らしい生活を再獲得した後も利用を継続していることがある。今回、利用開始時より明確な目標指向型の介入を実施し、デイケアを卒業して生活スタイルの再構築につなげることのできた利用者への介入経験から、デイケアのおける介入の一助になるのではないかと考えられたため以下に報告する。
【症例紹介】
 81歳 男性。要介護度1。利用開始時の病名は狭心症。既往歴はパーキンソン病、左大腿骨頚部骨折術後。利用期間は平成28年2月3日~3月30日の2か月間。利用回数7回。週1回の利用。 経過:左大腿骨頚部骨折術後にリハビリテーション病院を経由して自宅復帰。最初は訪問リハビリテーションを導入して在宅生活の安定化を図ったが、生活範囲が狭小化していたためデイケアの利用を通じて積極的な社会参加を目指すこととした。しかし、病院入院中のリハビリ時に心電図モニター上での変化が認められたため、胸部症状を伴わない状態ではあったが、精査したところ、以前留置したステントに狭窄部を認めたため経皮的冠動脈形成術(PCI:percutaneous coronary intervention)を施行した。残存狭窄あるもリハビリ可能との主治医の判断によりデイケア利用開始となる。
【利用開始時の状況】
 本人の希望:心臓の血管を広げる手術を受けたので、リハビリを積極的にやって、一人で新宿通りまで出られるようになりたい。 総合的援助方針:心臓の手術を終了したことから、積極的なデイケアへの参加を通じて体力や筋力を向上し、自宅内での生活動作の向上と屋外歩行能力の獲得を図っていく。 サービス利用状況:デイケア1回/週、福祉用具レンタル(ベッドおよび手すり) 全体像:自宅内ADL自立。 歩行は屋内伝い歩き。屋外はT時杖使用して自宅周辺程度離可能。パーキンソン病の症状である小刻み歩行やすくみ足は認められない。自宅前に急な坂(25~30度程度)あり。自宅から新宿通りまでは片道約30m。
【利用中の状況】
内容:送迎(約10分間)、健康チェック、集団体操、個別リハビリテーション、生活指導機能訓練開始前 血圧:117~135/69~78mmHg 心拍数:98/分機能訓練終了時 血圧:119~145/92~71mmHg 心拍数:92/分運動中のBorg指数は12。運動中にdouble productが低下する所見は一度もなし。
【終了時の状況】
 歩行能力は目標を達成し、時間の制約のない体操教室への参加と近隣の接骨院のマッサージを利用することとなった。曜日や送迎に縛られない生活を強く希望し終了となる。
【考察】
 本症例は、大腿骨頚部骨折の後遺症やパーキンソン病に伴う機能低下は顕著に認められず、心機能低下に伴う生活機能の低下が主であった。また、心機能障害の症状発現も胸痛を伴わない無症候であったため、通所リハビリテーションの実施と介入には注意を要する状態であった。 個別リハビリでは自己検脈法や運動強度の指導を行い、徐々に活動範囲を広げていけるよう介入した。生活範囲の拡大が安全に行えたことにより、当初の目標を達成することができた。これは、具体的な目標を達成するために、小さな目標から大きな目標へと段階的に実現していくことにより、達成感を味わうとともに自己有能感を生み出し、その結果、積極的に活動範囲を広げていきたい欲求が芽生え、介護保険サービスの枠内での社会参加から、自由な選択を多く有するより広い社会参加へとつなげることができたと考えられる。
【まとめ】
 目標を明確に掲げ、その目標を達成するための課題分析と介入の結果、生活スタイルの再構築を可能とした。 デイケアの利用者に対する介入は、利用者の年齢層や心身機能面から、維持を目的としてしまうこともあり、その結果変化のない継続プランが続くことのないよう、活動や参加に焦点を当てた介入が必要である。そのためには、スモールステップの原則にも続いた目標達成をすることはとても大事であり、その結果は、積極的な社会さんかへとつなげることも可能になることが示唆された。

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