ID:A01794-00024-10177
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第29回全国介護老人保健施設大会 埼玉

18-第11-L9-5

COGNISTATを基にした認知症リハビリの試み

○松岡宏介

1介護老人保健施設 シルバーピア加賀)

【はじめに】
 当施設では、認知症である利用者様に対し3ヶ月間の認知症短期集中リハビリを実施している。しかし
認知症短期集中リハビリ終了後は、認知症症状が進行してしまうなど利用者様のADLやQOLの維持が
難しくなってしまうケースが見られている。
 今回、COGNISTATを使用し対象者の認知機能プロフィールをとり、それを基にした認知症リハビリを
実施することで、通常リハビリの限られた時間の中でも、利用者様の認知機能やADLの維持・向上、情緒
の安定を図ることができるかの検証を行った。

【方法】
期  間:平成28年10月中旬~平成29年3月の間で、対象者の担当PT・OTが指定した約3ヶ月間
対象者:HDS-R、MMSEが概ね10~25点程度で、認知症短期集中リハビリ実施期間でない利用者様
     入所5名、通所4名の計9名
方  法:(1) 対象者に対してHDS-R、MMSE、NMスケール、N-ADL、NPI-Q、COGNISTATを実施する。
     :(2) COGNISTATの結果から得られた認知機能プロフィールの得点が高い項目(ストレングス項目)
        1~2項目に対しての認知課題を1~2種類選択する。
     :(3) (2)の選択課題と合わせて、見当識の課題を対象者全員に共通課題として課し、通常リハビ
        リ(1回20分、週2回)の時間内で1回5分~10分程度使用する。これを3ヶ月間実施する。
     :(4) 実施後検査として再びHDS-R、MMSE、NMスケール、N-ADL、NPI-Q、COGNISTATを実施する。

     なお、認知課題のプログラムについては、当施設リハビリ科で集約した「認知プログラム集」
     を使用し、対象者に快刺激を与え自己効力感を高めるため、満点主義での実施となるよう難易度
     に配慮する。

【結果・考察】
 認知機能面の変化としては、認知機能の検査であるHDS-R、MMSE、NMスケール、COGNISTATのいずれ
においても平均点の前後差で±1点以内の差しかなく、認知機能は概ね維持されていたと考えられる。
 COGNISTATにおいて、認知課題を実施した項目の得点で見ると、共通課題として対象者全員が取り組
んだ見当識については、いずれの認知機能の検査においても平均1点程度上昇が見られると共に、9名中
8名の対象者の点数が維持・向上されていた。これは、継続してアプローチをしていくことで、見当識に
対する意識が対象者に定着していった為ではないかと考えられる。見当識以外の選択課題を実施し
た項目では、元々ストレングス項目、すなわち「保持されている能力」へのアプローチであり、これも
平均点としては大きな増減は見られなかった。中には言語(復唱)や推理(類似・判断)の項目の様に
得点が下がった項目も見られたが、正常域を概ね維持しており一概に悪化したとは言えない結果となっ
た。また、今回アプローチしなかった項目においても一部向上した例が見られており、これは、集中して
学習に取り組むことで脳全般が活性化し、アプローチしていない項目にも影響を及ぼしたのではない
かと考えられる。
 ADL能力検査のN-ADLでは、平均1.7点の低下があり低下者が3名となった。しかしこの3名は、期間中
に疾病等で心身機能が低下してしまった方であり、これらを除けば他の6名は全て維持以上となり、対
象者のADL能力は概ね保たれていたと考えられる。
 BPSD検査のNPI-Qでは、-1点程度の低下(軽減)が見られた。一部、数値の上昇が見られた者もいる
が、前後の点数差は1点のみであり、BPSDの程度としては「軽度」であった。これは、満点主義により課
題の実施を試みたことで、自己効力感が上昇し、情緒の安定を図る一要因となったのではないかと考えら
れる。

【総括】
 当初12名の対象者で開始した取り組みであったが、期間中3名が入院などで対象から外れ、さらに
実施者の中でも、疾病等で心身機能が低下してしまった方が3名出るなど、高齢者の心身状態の変化しや
すさを改めて認識させられることとなった。しかし、結果としては、通常リハビリの限られた時間の中でも
認知機能、ADL能力、情緒の安定を概ね維持することが出来たと考える。また、本取り組みを通して
当施設リハビリテーション科共通の「認知プログラム集」を作成したことは、セラピスト間の技量の差を
埋めることとなり、当施設の認知症リハビリの質の向上に繋がったのではないかと考える。
 一方、課題としては、COGNISTATは心理検査及び心理面接の基本態度及び技術を習得した者が行うべ
きとされており、検査の実施方法や結果の解釈に当たっては、さらなるセラピストの質の向上が必要で
あると思われる。また、COGNISTATの実施に際しては、実質30~40分程度の時間を要し、運用方法など
の検討が必要であると思われる。
 利用者様を中心とした質の高いサービスを提供していくためには、利用者様をよく知ることが大切と
なる。COGNISTATの認知機能プロフィールを活用することで、対象者の認知障害の特徴を把握し、それを
ご家族様や多職種間で共有していくことが、より良いサービスの提供に繋がるものと考える。

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