ID:A01794-00025-10350
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第30回全国介護老人保健施設記念大会 別府大分

残された機能を活かした排泄支援

○下藤初代1,富井翔平1,平方厚子1,宇野充則1,浅野裕江1,高玉真光1

1群馬老人保健センター陽光苑)

"<はじめに> 排泄という行為は、人間の尊厳や羞恥心に大きく影響するものであり「最期までトイレで排泄したい」と誰でもが望んでいる。当苑では、その望みをかなえるために排泄支援に力を注いできた。 また、平成30年度介護報酬改定において「排せつ支援加算」が新設されたことに伴い、排泄支援の取り組み内容を見直し整備を行った。<当苑で整備し実施している方法>1 排泄に関わる全身状態のアセスメント2 排泄日誌、残尿測定器の活用 3 排泄動作評価、認知機能評価4 排便体操(座位プログラム)5 安全に配慮した福祉用具の選択(移乗サポートロボット)環境整備<自立支援に向けた排泄支援の取り組み>図表[1]図表[2]参照症例の中で、特に笑顔と意欲を取り戻しADLとQOLの改善につながったA氏について報告する。A氏 80歳代男性    要介護5病名:両側慢性硬膜下血腫脳梗塞 両側ドレナージ脳梗塞・パーキンソン病・廃用症候群・過活動膀胱・前立腺肥大 <入所時と現在の比較>図表[3]参照(家族の希望)「トイレで排泄できれば家に連れて帰りたい」<結果> A氏は、ほぼ寝たきり状態であり、尿便意の訴えもなかったが、排泄状況を把握するためにパット内の尿量の確認に排泄記録を活用した。結果、昼食後の尿量が多いことに着目し、福祉用具(移乗サポートロボット)を使用、トイレでの排泄ができるか試してみた。移乗サポートロボットにより上半身を身体保持部に密着させることで座位が安定し前傾姿勢が保て、「排便姿勢」が取れたことで、排便することができた。A氏は、発語もほとんどなかったが、「トイレで便が出た。トイレにつれてきてくれてありがとう」と嬉しそうに話された。トイレで排泄できたことが自信となり入所4か月たった現在、終日トイレで排泄を行っている。また、本人より「トイレに行きたい」「おなかがすいた」などの言葉が聞かれるようになった。さらに車椅子の自走を自発的に行い移動手段が確立されるなど、自立支援の取り組みがスムーズに行えるようになっている。<考察> 排泄ケアを要するようになった段階でA氏のように介護の質や量が急激に変化し在宅生活の維持困難になるケースも多い。排泄の自立は、尊厳の保持とプライバシーの配慮すべき重要な位置づけを持ち、QOLに大きく影響するものである。 今回、おむつ使用の利用者の方を対象に、排泄記録を活用しパット内の尿量を測定、排尿量の多い時間にトイレでの排泄をはじめた。普段の生活の中で排泄に必要な動作を見逃がさずアセスメントし実践していくことが効果的な排泄ケアにつながり排泄記録の活用は職員間の情報の共有の手段となり排泄状況の改善に役立っていると考える。 A氏の「トイレに行きたい」というやる気を尊重し二人介助でトイレに座る、座位を保つ、後始末をする等、段階的にレベルを上げて取り組みを行ったことがADL・QOLの向上となり自信を取り戻し笑顔が見られるようになったと実感した。 また、「排便体操(座位プログラム)」を毎食前に実施している。便を出すには「直腸の収縮」「いきみ」ができる座位の姿勢が大切である。この体操は他の利用者の方にもとても好評であり、効果的であると感じた。排泄支援の成果としておむつ使用からトイレでの排泄が平成29年度は62.9%であったが平成30年度は74.2%と向上している。これは排泄の自立支援に向けてのシステムを作り、勉強会を開催、実践して職員が様々なことを学び実践した成果であり、その成果を職員に公表したことが職員のやりがいや自信につながり今では、「この方はトイレに行けるかも」「オムツがはずれそう」などの排泄の自立支援に向けて積極的な言動が聞かれるようになってきている。 排泄は、食事と比べ回数も多く不定期でありケアに迷う事も多々ある。しかし利用者の笑顔を忘れることなく、利用者の方の残された機能を活かし「どうしたらできるようになるか」を考え、毎日少しずつの取り組み、それが自立支援につながると思う。<終わりに> 排泄の自立支援は介護の基本。「最後まで自分でトイレに行き排泄したい」と誰でもが望んでいることを私たちは忘れてはいけない。自立した日常生活を送るうえで排泄支援はQOLの向上となり在宅復帰へと繋がっていく。「オムツだから仕方ない」とあきらめず、残された機能を活かしたケアを提供し尊厳のある生活を過ごしていただけるように今後も取り組みを継続していきたい。"

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