ID:A00316-00039-10231 |
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075 2-P-TA-11:00
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神経内科領域における鍼治療の実際
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○千々和香織1,2,菊池友和1,2,山口智2,坂井文彦1,丸木雄一1 (1埼玉精神神経センター 神経内科,2埼玉医科大学東洋医学センター)
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【目的】我々は、神経内科外来における鍼治療の役割を明らかにする目的で当院における鍼治療の実態調査を行い、精神科や神経内科領域において西洋医学的な治療で期待すべき効果の得られない患者が、更なる疼痛の軽減や難病の進行過程における症状緩和、さらにQOLの向上を目的としていることを報告した。そこで今回は、鍼治療が患者のQOLに及ぼす影響を検討した。 【方法】研究デザイン:非盲検前後比較。研究施設:神経内科・精神科外来または入院病棟。対象:2011年4月1日~2013年12月3日に当院神経内科外来にて鍼治療を受診した患者120名のうち評価基準を満たした36名。評価:QOLの指標としてSF-36を1ヶ月間の鍼治療前後に比較した。除外基準:質問紙表を拒否または、理解できなかった患者。 【結果】男性9名、女性27名。平均年齢54.4±16.8歳(mean ±S.D.)。平均罹病期間6.41±7.72年。患者の基礎疾患は片頭痛8名、緊張型頭痛6名、顔面神経麻痺3名、パーキンソン病2名と続いた。SF36は、鍼治療前PF42.9→鍼治療後46.3(P<0.01)、RP34.0→38.1、BP36.8→40.5(P<0.01)、GH40.9→44.0(P<0.05)、VT41.0→45.6(P<0.01)SF37.0→38.1、RE35.8→40.7(P<0.01)、MH42.1→46.3(P<0.01)であった。 【考察】疼痛や麻痺、筋力低下等を主訴に、神経内科および精神科での治療で期待すべき効果が得られなかった患者に鍼治療を行った結果、SFとRP以外の6項目で有意に上昇した。今後は、主訴や基礎疾患などの背景因子を詳細に検討し、鍼治療が神経内科や精神科領域の患者に併用する治療法の一つとして有用性や有効性を検討する必要が考えられた。 【結語】神経内科や精神科の外来に鍼治療を併用することにより患者のQOLは向上した。 |
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