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パーキンソン病の小字症に対する鍼通電刺激の効果
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○山口賢1,谷之口真知子1,大勝孝雄2 (1大勝病院リハビリテーション科,2大勝鍼灸治療院プライマリィ)
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【目的】小字症はパーキンソン病に特徴的な書字障害であり、無動の部分症状と考えられている。今回、小字症に対して鍼刺激を行い、その効果について検討した。【方法】パーキンソン病罹患患者のうち、小字症を呈する7例(Yahr重症度分類・Stage2:2例、Stage3:4例、Stage4:1例)に対して鍼刺激を行い、その前後で患者自身の氏名を10回ずつ記載させ、そのうち最大の書字全体の長さと最小となる書字全体の長さを計測し縮小率を算出した。さらに鍼治療を継続しているものでは縮小率の経過観察を行った。鍼刺激は50mm、20号鍼を両合谷穴、曲池穴へ刺入し低周波鍼通電治療器を使用して刺激頻度1Hz、刺激強度は筋のtwitchが認められ不快に感じない程度で15分間行った。【結果】縮小率が鍼刺激前は平均65.4%であったのに対して、鍼刺激後では平均82.0%となり平均16.7%の改善が見られた。また、全症例においても個人差はあるものの縮小率の改善が認められた。経過観察の結果では、縮小率の改善傾向が示唆された。【考察】パーキンソン病による無動は大脳皮質の活動性が低下するためと考えられており、多くの例で脳血流の減少が認められ、それは皮質領域にもおよぶという報告もある。今回の縮小率の改善は、鍼刺激による脳血流の増加が皮質領域または基底核の神経回路の活動性に何らかの影響をおよぼしたものと考えられる。【結語】1.小字症を呈するパーキンソン病患者7例に対して鍼刺激を行い、その効果について検討した。2.鍼刺激後、全症例において縮小率の改善が認められた。3.鍼治療の継続により縮小率の改善傾向が示唆された。4.今回の結果で小字症の改善を認めたことは、無動への影響が関与したものと推察した。5.薬物療法において十分な効果が得られないとされる無動・小字症が、鍼治療と併用することによりQOLの向上が期待されるものと考えられる。 |
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