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パーキンソン病の歩行バランス障害に対する鍼灸治療の臨床的効果
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○小山則子2,福田晋平2,江川雅人2 (1明治国際医療大学 大学院,2明治国際医療大学 はり・きゅう学講座)
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【緒言】パーキンソン病(PD)における歩行バランス障害は生活範囲を制限してQOLの低下を招くだけでなく、転倒のリスクを伴う重要な臨床症状である。【目的】PDの歩行バランス機能障害に対する鍼灸治療の臨床的効果について検討した。【対象】歩行バランス機能の低下を自覚するパーキンソン病患者17名(M/F:5/12、年齢63.9±8.8歳)【方法】鍼灸治療は弁証論治:「肝血虚症」「肝腎陰虚証」「肝鬱気滞証」「腎陽虚証」の配穴および両側の膈兪、肝兪、脾兪、腎兪、大腸兪、承扶、殷門、合陽、承山を配穴した。ステンレス鍼(16-20号)を5-15mm刺入、10-15分間の置鍼術を行った。こり感や痛みには対症療法的に施術した。冷えには足三里、三陰交、太白、腎兪に温灸1壮を行った。鍼灸治療は週に1回×5週間行った。歩行バランス機能の測定は3m-Timed Up and Go test(TUGT)により評価した。評価は鍼灸治療期間前後に行った。【結果】TUGT値は鍼治療期間の前後において17例中14例で短縮し、8.5±2.5→8.0±2.3[秒]と有意に低下した(p=0.001:Wilcoxon signed ranks test)。客観的に歩行バランス機能が低下していた7例(TUGT≦9.0秒)においては全例でTUGT短縮、8.3±2.4→7.7±2.0[秒]へと有意に低下した(p=0.001)。【考察】TUGT値の有意な低下により鍼灸治療による歩行バランス機能の改善が客観的に示された。PDの歩行バランス障害の発症機序は、姿勢の悪化や腕振りの減少、筋強剛による体幹部の運動低下、空間認識障害などが原因と考えられている。鍼灸治療は筋緊張緩和作用により四肢や体幹の運動性を高めて歩行バランス障害の改善をもたらしたものと考察した。【結語】PDの歩行バランス障害に対して鍼灸治療は有効であると考えられる。 |
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