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第56回(社)全日本鍼灸学会学術大会

若年発症パーキンソニズムに対する鍼治療の1症例

○建部陽嗣2,江川雅人2,山口達之3,山村義治1,苗村健治1

1明治鍼灸大学 内科学教室,2明治鍼灸大学 老年鍼灸医学教室,3京都府立医科大学 神経内科学教室)

【目的】鍼治療により、主訴である歩行困難と全身状態の改善が認められた若年発症パーキンソニズムの1症例を報告する。
【症例】49歳女性。主訴:歩行困難。現病歴:17歳頃より振戦が出現、21歳の出産を機に振戦の悪化と歩行困難が出現した。26歳時にパーキンソン病と診断され薬物療法を開始し、42歳時に淡蒼球破壊術を受けたが歩行の改善はなく、鍼治療の併用を開始した。 所見:歩行は、加速歩行、小刻み、前方突進、すくみ足を認め、時に転倒した。左上肢の軽度動作時振戦、四肢の筋固縮、姿勢反射障害を認めた。軽度ではあるが明らかな動作緩慢と運動量減少を認めた。Hoehn&Yahrの重症度分類ではIII度と判定された。
【方法】鍼治療は、曲池、合谷、足三里、三陰交、太谿、太衝、肝兪、腎兪を選び基本穴とし、また随伴症状に対し適宜鍼治療を加えた。刺激は10分間の置鍼術とし、週1回×10週間鍼治療を行った。薬物治療は鍼治療期間前の投薬(L-DOPA剤(カルビドパ合剤200mg/日))を継続した。評価方法は、鍼治療期間前後に統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を神経内科医が評価した。特に歩行や姿勢の動的バランス機能をTimed“up and go”test(TUG)で、QOLはパーキンソン病専用のQOL評価尺度であるPDQ-39で評価した。また、パーキンソン症状をVASと6段階のCategorical Scale(CS)で評価した。
【結果】UPDRSは鍼治療により36→28点と低下し、特に振戦は消失し、すくみ足の改善が認められた。また、TUGは20.3→12.3秒と減少し、姿勢や歩行の動的バランス機能の改善が認められた。PDQ-39は92→34点、特に運動能力の改善に伴うQOLの向上が認められた。パーキンソン症状を示すVAS、CS値も低下し、改善が認められた。
【考察と結語】現代医学的治療で充分な臨床効果が得られなかった本症例において、主症状ばかりでなく、QOLを含めた全身性の改善が得られたことは、本疾患に対する鍼治療の有効性が示されたと考えられる。

Keywords: 鍼治療; 若年発症パーキンソニズム; パーキンソン病; 歩行困難; UPDRS;


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