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第58回(社)全日本鍼灸学会学術大会

全身倦怠感を伴うパーキンソン病患者に対する鍼治療の1症例

○建部陽嗣2,江川雅人2,福田晋平3,栗山長門1,苗村健治3

1京都府立医科大学 神経内科学教室,2明治国際医療大学 加齢鍼灸学教室,3明治国際医療大学 内科学教室)

【目的】薬物療法に伴う全身倦怠感を主訴としたパーキンソン病患者に対して鍼治療を行い、治療効果が得られたので報告する。
【症例】73歳女性。主訴:全身倦怠感、右上肢のこわばり
現病歴:X-3年、右前腕のだるさが出現。A病院にてover use、B病院にて頚椎症と診断。数回頚椎牽引を施されるが症状は改善せず。X年5月明治国際医療大学附属病院整形外科を受診。頸部MRI上でC4/5部位にやや狭窄があるものの、知覚・筋力低下なし。同日同院神経内科を受診。頭部画像上に異常認めず。X年6月、L-Dopa薬処方開始。症状の改善が見られたためパーキンソン病と診断。薬物を増量した。X年7月、症状は安定したが全身倦怠感を訴えたため、主治医の勧めより鍼治療を開始。所見:緊張時に右手軽度振戦。右上肢に中等度、頸部に軽度の筋固縮。姿勢反射消失。軽度動作緩慢。治療方法:薬物治療に加え、週1回の鍼治療を16週間継続。鍼治療はパーキンソン症状に有効であると報告されている経穴を使用。評価方法:鍼治療開始時より2か月ごとに統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を神経内科専門医が評価。特に動的バランス機能をTimed“up and go”test(TUG)で評価。QOLの評価は、パーキンソン病専用QOL評価尺度であるPDQ-39を使用。また、10項目の症状に対してVASと6段階のCategorical Scale(CS)にて評価。
【結果】UPDRSは28点→22点と減少し、特に歩行中のすくみ、右上肢の固縮、顔の表情で改善がみられた。TUGは14.0秒→9.7秒と減少し、動的バランス機能の改善が認められた。PDQ-39は47点→12点、特に情動面の項目で低下し、QOLの向上が認められた。全身倦怠感を示すVASは100mm→0mmと減少し、症状の軽減が認められた。
【考察と結語】薬物治療に対して副作用がみられた本症例において、副作用の軽減ばかりでなく、パーキンソン症状やQOLを含めた全身性の改善が得られたことは、本疾患に対する鍼治療の高い有効性を示す例であったと考える。

Keywords: パーキンソン病; UPDRS; PDQ-39; TUG; L-dopa薬;


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