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神経内科外来における鍼治療の実態調査
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○千々和香織1,2,菊池友和1,2,山口智2,坂井文彦1,丸木雄一1 (1埼玉精神神経センター 神経内科,2埼玉医科大学 東洋医学センター)
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【目的】当院は精神科病院として開院し,神経内科を併設し認知症疾患医療センターや埼玉国際頭痛センターを開設し,脳と神経の総合病院として地域に医療・福祉の提供を行っている.2011年4月より神経内科外来に鍼治療室を開設し,週一回14:00~17:30の診療を行っている.これまで,神経内科領域において頭痛や顔面神経麻痺などを対象とした研究は報告されているが,医療機関の調査では神経内科における鍼治療は5.6%と数少ない(安野ら2012).そこで今回我々は,神経内科外来における鍼治療の役割を明らかにする目的で当院における鍼治療の実態調査を行った.【方法】研究デザイン:横断研究.研究施設:精神科・神経内科外来または入院病棟.対象:2011年4月1日~2012年11月30日に当院神経内科外来にて鍼治療を受診した85名.男性30名,女性55名.平均年齢57.8±18.6(mean ±S.D.).要因:患者情報(紹介の有無,入院外来の有無,主訴,基礎疾患,薬物療法の有無)を抽出し分析.【結果】紹介受診68名,直接受診17名.入院10名,外来75名であった.また主訴は頭痛・顔面痛29名,下肢の痛み痺れ9名,肩こり5名,上肢筋力低下5名,肩関節痛4名と続いた.基礎疾患は片頭痛15名,ALS11名,緊張型頭痛10名,パーキンソン病4名,薬物乱用頭痛(MOH)4名の順であった.薬物療法は62名が使用していた.【考察】当院は,頭痛センターや神経難病に対する特殊疾患療養病棟などが設置されていることから,神経内科の入院患者では神経難病などが中心であり,外来では神経難病及び頭痛,認知症などの患者が多く受診している.今回鍼治療の対象となった患者は,頭痛の中でも難治性と言われている慢性片頭痛・緊張型頭痛や小児の頭痛・MOH,またALSなどの神経難病患者等であったと考える.【結論】精神科や神経内科領域において西洋医学的な治療で期待すべき効果の得られない患者が,更なる疼痛の軽減や難病の進行過程における症状緩和,さらにQOLの向上を目的に鍼治療を受診していた. |
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