ABSTRACT 709(P1-1)
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N-nitroso-2,6-dimethylmorpholine (NDMM)の変異原性発現における代謝活性化経路:仁井裕章(岐阜薬大)

The metabolic activation pathway of N-nitroso-2,6-dimethylmorpholine by hamster liver on Ames mutation assay : Hiroaki NII (Gifu Pharm. Univ.)

〔目的〕第56回本学会総会で膵発癌性NDMMの変異原性を5倍以上に促進する肝可溶性画分 (Cytosol) の性状について報告した。今回はNDMMの代謝活性化経路について検討した。
〔実験法〕 Ames 法は、フェノバルビタール (PB) 処置した雄性ハムスターの肝ミクロゾーム (Ms)とCytosolを用いてプレインキュベート法で行った。代謝物のHPLC分析及び分取は239nmの吸光度をモニターして行った。
〔結果〕 NDMM (10mg) を肝Msとインキュベートすると、NDMM量の約0.9%に相当するHPOPが生成したが、Cytosolを加えてもMsのみの場合と同程度の生成量であった。また、0.1mgのHPOPの変異原性に対するCytosolの促進効果を検討したところ、NDMMに対する促進効果の約10分の1しか認められなかった。HPLCでNDMMとMsの反応混液を分画して各画分の直接変異原性を調べたところ、HPOPではなくNDMMのピークにほとんど重なる位置に変異原活性のピークが認められ、Cytosolの添加によりその活性が上昇した。
〔考察〕 NDMMはHPOPを経由して代謝活性化されると報告されているが、変異原性発現においてはHPOP経由とは別の活性化経路の存在が示唆された。