ABSTRACT 712(P1-1)
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多フッ素置換によるキノリンの変異原性に与える影響:加藤隆明1, 佐伯憲一1, 川添 豊1, 羽倉昌志21名市大・薬, 2エーザイ・安全性研)

Effect of oligofluorine-substitution on the quinoline mutagenicity: Taka-aki KATO1, Ken-ichi SAEKI1, Yutaka KAWAZOE1, Atsushi HAKURA2 (1Fac. Pharm. Sci., Nagoya City Univ., 2Drug Safety Res. Lab., Eisai Co., Ltd.)

【目的】キノリン(Q) はラットに対し肝発癌性を有し、サルモネラ菌TA100に対し変異原性を示す。我々はこれまでに、Q の遺伝子傷害性除去を目的としたモノフッ素置換について検討を行い、ピリジン環部位の 3 位へフッ素を導入することにより、in vitro 変異原性 (Ames 法、S9 存在下)、in vivo 変異原性 (lacZ-transgenic mice) 及び中期肝発癌性 (rats) の何れの試験においても陰性となることを報告してきた。一方、ベンゼン環部位へのフッ素置換では何れも変異原性 (Ames 法、S9 存在下) の消失は見られず、特に、5 位及び 7 位フッ素置換により変異原性が著しく増強されることも見い出した。今回、更に多フッ素置換によるキノリンの変異原性への影響を調べたので報告する。
【結果及び考察】変異原性試験は、サルモネラ菌 TA100 を用いてAmes 法により S-9 存在下にて行った。検討した 9 種類のベンゼン環部位多フッ素置換キノリン (di-, tri-, and tetra-FQ) は何れも変異原性を有し、5 位あるいは 7 位にフッ素を有する化合物は何れもキノリンよりも高い変異原性を示した。また、6 位にフッ素を有する化合物の多くは高濃度側で細胞毒性が見られた。一方、ピリジン環側の 3 位にフッ素を有する 3,5-, 3,7-diFQ 及び 3,5,7-triFQ では変異原性は見られなかった。現在、これらのフッ素置換体のラット肝マイクロソームによる代謝経路について検討中である。