ABSTRACT 713(P1-1)
シトクロム P450 化学モデル系を用いた 2-アセチルアミノフルオレンの活性化機構:稲見圭子、望月正隆(共立薬大)
Activation of 2-acetylaminofluorene by chemical models for cytochrome P450: Keiko INAMI, Masataka MOCHIZUKI, (Kyoritsu College of Pharmacy)
【目的】環境内に存在する多くの発がん物質は、生体内に吸収された後、肝のミクロソームで代謝活性化を受け発がん性および変異原性を発現する。発がん性の短期スクリーニング法である変異原性試験では、代謝活性化が必要な場合にはラットの肝ミクロソームが用いられる。本研究では、代謝酵素の代替としてポルフィリン金属錯体/酸化剤からなる化学モデル系の有用性の検討を目的とした。すでに、変異原性試験において化学モデル系は効率よく発がん物質を活性化し変異原活性を発現することを報告した。今回は、化学モデル系の存在下における変異原性発現機構の解明を試みた。
【実験方法】S9mixの代わりにポルフィリン鉄錯体/酸化剤の存在下、Ames 法に従って発がん物質の変異原性試験を行った。ポルフィリン鉄錯体として tetrakis (pentafluorophenyl) porphyrinato iron (III) chloride を用い、酸化剤として tert-butyl hydroperoxide (t-BuOOH) を用いた。また、発がん物質として詳細な反応機構がなされている 2-acetylaminofluorene (2-AAF) を用いた。
【結果と考察】モデル系の存在下、2-AAF の酸化生成物を追跡し、2-nitro-9-fluorenone と 2-acetylamino-9-fluorenone を単離・同定した。さらに、モデル系存在下において N-hydroxy-2-acetylamino-9-fluorenone から 2-nitro-9-fluorenoneの生成を確認した。このモデル系で、2-AAF は 9-位が酸化された後、N-水酸化され nitro 体を生成し、変異原性を発現していることが明らかとなった。