ABSTRACT 720(P1-3)
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N2-ethyl-dGTPの大腸菌および哺乳類DNAポリメラーゼによるDNAへの取り込み:松田知成、寺島勇、松井三郎、澁谷眞也京大・環境質セ、ニューヨーク州立大ストーニーブルック校・医・薬学)

Incorporation of N2-ethyl-dGTP by bacteria and mammalian DNA polymerases : Tomonari MATSUDA1, Isamu TERASHIMA2, Saburo MATSUI1, Shinya SHIBUTANI2 (1RCEQC, Kyoto Univ., 2Dept. of Pharm. Sci., SUNY at Stony Brook)

N2-ethyl(Et)-dGはアセトアルデヒドによって生成され、アルコール中毒患者の白血球などで検出されている。N2-Et-dGTPのDNAへの取り込みを、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメント、及び牛胸腺DNAポリメラーゼα、β、δを用いて調べた。32Pラベルしたプライマーをアニールしたオリゴヌクレオチドを用いて、C,A,G,Tに対するN2-Et-dGTPの取り込みを調べた実験では、すべてのポリメラーゼでCの反対側にN2-Et-dGTPがよく取り込まれた。クレノーフラグメントではT,G,Aの反対側にもN2-Et-dGTPを取り込んだ。また、polαではGとAの反対側に、polβではTの反対側にもN2-Et-dGTPを取り込んだ。一方、polδではCの反対側以外には取り込まれなかった。これらポリメラーゼによるN2-Et-dGTPの取り込みの反応速度を測定したところ、Cに対する取り込みでは、8-oxo-dGTPに比べてpolαで300倍、polβで約7倍効率よく取り込まれることがわかった。さらに、N2-Et-dGを3'末端に持つプライマーを用いたDNAの伸長実験を行ったところ、容易に伸長することが明らかとなった。以上、N2-Et-dGTPはDNA合成の過程で非常によく取り込まれ、かつ、そのまま合成が進むので完全にDNAに組み込まれることが明らかとなった。