ABSTRACT 729(P1-4)
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X線誘発ラット胃に生じる腸上皮化生の経時的変化:湯浅啓史1,2,稲田健一1,塚本徹哉1,吉川朱実1,渡辺敦光3,立松正衞11愛知がんセ・研・1病理,2田辺製薬・安全研,3広島大原医研・環境変異)

Time dependent change in intestinal metaplasia in the irradiate rat stomach : Hirofumi YUASA1,2, Tetsuya TSUKAMOTO1, Akemi YOSHIKAWA1, Hiromitsu WATANABE3, Masae TATEMATSU1

ヒト胃の腸上皮化生では、胃と腸の両方の形質を持つ細胞から成る胃腸混合型(GI型)および腸の形質を持つ細胞のみからなる腸型(I型)が存在する事を報告してきた。ラット胃にX線を照射すると、ヒトと同様な腸上皮化生が発生するが、この腸上皮化生について、胃および小腸の形質に着目して経時的な推移を検討した。【材料および方法】5週齢のDonryu系ラット胃部に10GryのX線を2回照射し、2、4、8、24、40および77週後に屠殺して連続薄切標本にて観察した。胃の形質はパラドキシカル・コンカナバリンA染色にて、腸の形質は腸型アルカリホスファターゼ(I-ALP)免疫染色にて、細胞動態はBrdU免疫染色にて検討した。【結果】ラット胃の腸上皮化生はヒトと同様にGI型とI型に分類することができた。腸上皮化生の数的変動では、X線照射2週後ではI型の腸上皮化生は殆どなく、GI型の化生腺管が主体を占めた。GI型は照射4週後に最大になったが、以降減少してほぼ一定の数を示した。I型は、X線照射2週後では殆ど存在せず、4週後から照射77週後まで持続的にその数を増した。複数の隣接する化生腺管をひとつの腺管巣として捉えた場合、ひとつの巣の中にGI型とI型化生腺管の両方が存在する場合があった。【考察】GI型およびI型腺管数の推移と単一巣内での混合からGI型がI型に変化する事が示唆された。