ABSTRACT 731(P1-4)
ラット潰瘍性大腸炎関連大腸腫瘍におけるβ-catenin及びApc遺伝子変異の検索:酒々井真澄1,2、Roderick H Dashwood2、吉見直己1、牛島峻和2、杉村隆2、長尾美奈子2、森秀樹1(1 岐阜大・医・1病理、2 国立がんセ・研・発がん)
Search for β-catenin and Apc gene mutations in the rat colon tumors associated with ulcerative colitis induced by 1-hydroxyanthraquinone and methylazoxymethanol acetate: Masumi SUZUI1,2, Roderick H DASHWOOD2, Naoki YOSHIMI1, Toshikazu USHIJIMA2, Takashi SUGIMURA2, Minako NAGAO2, Hideki MORI1 (11st Dept. of Pathol. Gifu Univ. Sch. Med., 2Carcinogenesis Div. Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)
【目的】化学発癌剤である1-HAとMAMにより誘発したラット潰瘍性大腸炎関連大腸腫瘍においてβ-catenin及びApc遺伝子変異を検索し、発癌メカニズムに対する関与を検討した。
【材料と方法】1-HAとMAMにより誘発したラット大腸腫瘍(20サンプル)からDNAを抽出しPCR-SSCP法によりβ-catenin(N末端のリン酸化領域)及びApc(全コード領域)の遺伝子変異を検索しsequenceにより変異を確認した。
【結果と考察】検索した腫瘍の90%(18/20, adenoma3/4, adenocarcinoma15/16)にβ-cateninの変異を認めたが、Apcの変異は認めなかった。変異はGly34→Glu(72%),Asp32→Asn(17%),Thr41→Ile(11%)であった。ラットβ-cateninのN末端のリン酸化領域の変異は1-HAとMAMにより誘発したラット大腸発癌に関与することが示唆された。また、Apc遺伝子変異の関与は低いと考えられた。