ABSTRACT 732(P1-4)
 ポスターセッション一覧 トップ 


腸内投与されたデオキシコール酸、ウルソデオキコール酸の大腸発癌における作用の検討:林 春興, 梅本 淳, 三村誠二, 山裕二, Md. Jabed Seraj, 門田康正 (徳島大・医・2外)

Effects of deoxycholic acid (DCA) and ursodeoxycholic acid (UDCA) in colonic carcinogenesis:Chun-xing LIN, Atsushi UMEMOTO, Seiji MIMURA, Yuji UEYAMA, Md. Jabed SERAJ, and Yasumasa MONDEN (Second Dept. of Surgery, Tokushima Univ.)

【背景、目的】以前、大腸発癌物質azoxymethane (AOM)により誘導されるラット大腸のaberrant crypt foci (ACF)を指標に、非抱合型のdeoxycholic acid (DCA)、ursodeoxycholic acid (UDCA)の大腸発癌に対する作用を調べたところ、DCAはACF生成を促進し、UDCAは抑制することを見い出した。しかしその際、糞便の胆汁酸分析をおこなったところ投与胆汁酸が腸内細菌や肝臓の代謝により他の胆汁酸も大きく増加しており、投与した胆汁酸の作用が必ずしも反映されていないことが分かった。そこで、投与胆汁酸の腸内細菌による代謝変換を防ぐ目的でラットに手術を施し空虚な大腸を作成、これに胆汁酸を注入しAOM 誘導ACF 生成に対する影響を検討した。【方法】6週齢の雄F344ラットの大腸起始部に双孔式人工肛門を作製したところ大腸内は速やかに空虚となった。2週間後、AOM (15mg/kg)を1週間隔で2回皮下投与。DCA、UDCA (Na塩)水溶液(1mg/rat/day) 及び対照群では水をAOM初回投与直後より週5回、4週間にわたり空虚大腸内に投与した(各群10匹)。【結果】DCA、UDCA群の体重増加は対照群と差がなかった。大腸ACF数(ACF/colon)は対照群が174±45であるのに対し、DCA群、UDCA群では118±26、87±29と有意に減少していた(p<0.01)。AC/ACF 数は対照群が1.10±0.04であるのに対し、DCA群、UDCA群では1.12±0.04、1.10±0.06と有意差がなかった。【考察】UDCA群の結果は以前の結果と一致していたが、DCA群では逆にACF数が抑制された。その理由としてapoptosisの誘導が関与している可能性が考えられる。