ABSTRACT 734(P1-5)
Phenobarbitalのマウス肝 c-JUN 誘導に対するclofibrateの抑制作用:畑山一郎1、三浦啓徳1、佐藤公彦2、土田成紀2(1青森県環境保健センター、2弘前大・医・二生化)
Suppression by clofibrate of phenobarbital-induced c-JUN expression in mouse liver : Ichiro HATAYAMA1, Hironori MIURA1, Kimihiko SATOH2, Shigeki TSUCHIDA2 (1Aomori Prefect. Inst. Public Hlth & Environm., 2Second Dept. Biochem., Hirosaki Univ., Sch. Med.)
c-JUNとperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR) は蛋白間の結合により相互いの転写活性作用を抑制し合うことが in vitroで示されているが in vivo では検討されていない。我々は、phenobarbital (PB)やPCBがマウス肝臓のc-JUNを強く誘導することを明らかにしてきた。そこで今回、PBによるマウス肝c-JUNの発現がPPARのligandであるclofibrate (CL) により抑制されるかどうか検討した。
雄B6C3F1マウスに0.05% PB、0.5% CL、0.05% PB + 0.5% CLを混餌投与し、2週間後に肝のc-JUNおよびペルオキシソーム酵素 enoyl CoA hydratase (ECH)の発現を免疫組織化学的に調べた。c-JUN はPB投与群において中心静脈周辺に強い発現を示したが、PB + CL 投与群ではその発現は完全に消失した。また、 ECHは CL 投与群で肝全体に一様に誘導されたが、PB + CL 投与群では中心静脈周辺で著明な発現低下を示した。本実験結果は、PBとCLの同時投与により中心静脈周辺の肝細胞においてc-JUNとCL-PPAR の複合体が形成され、c-junおよびECHの遺伝子活性化が抑制されていることを示唆する。