ABSTRACT 735(P1-5)
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Diethylnitrosamine(DEN)誘発ラット肝小増殖巣におけるglutathione S-transferase-P(GST-P) mRNA発現に対するClofibrate(CF)の修飾作用:今井俊夫1,2,中野渡純一1,稲田健一2,中西速夫2,立松正衞21エーザイ・安全研,2愛知がんセ・研・1病理)

Modulation of glutathione S-transferase-P mRNA expression in diethylnitrosamine-induced rat hepatic foci by clofibrate: Toshio IMAI1,2,Junichi NAKANOWATARI1,Ken-ichi INADA2,Hayao NAKANISHI2,Masae TATEMATSU2 (1Drug Safety Res.Lab., Eisai Co.,Ltd., 2Lab.Pathol., Aichi Cancer Center Res.Inst.)

[目的] DEN+2-acetylaminofluorene誘発ラット肝小増殖巣において,GST-P mRNAの持続的な発現が,その発育の指標になることを報告してきた。今回,DEN誘発小増殖巣におけるGST-P mRNAの発現に対するCFの修飾作用を検討した。[材料,方法] F344雄ラット40匹にDEN 200mg/kgを投与,3週後に2/3肝部分切除を施した。DEN投与2週後より0.3% CFを18,30週混餌投与(1群),あるいは基礎飼料飼育(2群)したラット小増殖巣におけるGST-P蛋白およびmRNAの発現を比較した。
[結果] HE染色標本における小増殖巣の数では,1,2群間に差はなかった。2群では小増殖巣の85-95%がGST-P免疫組織化学(IH)に陽性を示したが,1群では65-80%であった。IH陽性巣のうち,GST-P mRNA-in situ hybridization (ISH)に陽性を示す比率は,2群の15-40%に対し1群では50-60%であった。IHに陰性,ISHにのみ陽性を示す小増殖巣はみられなかった。
[考察]CFによるDEN誘発小増殖巣におけるGST-P蛋白の発現低下は,転写段階での合成抑制に起因すると考えられた。また,CFによるGST-P mRNAの高率な発現は,ラット肝発癌promotion作用に関与していることが示唆された。